第749話 コルマノン王国元首対談

「コルマノン国王、この度はご支援を即決頂いたこと、誠にありがとうございます。神国による過去の無礼な対応、ドラセム卿への暗殺未遂など思うところが多々おありであろうに、わが国民のためのご英断、感謝に堪えません」

「教皇、対面での謝罪、まずはお伺いした。もちろん、賠償や今回の支援に対する見返りは継続検討して貰い、別途お話させて貰うが、まずは国民の命を優先とさせて頂く」

「自身も元首として、レーベルク帝国、アルテーラ王国のように即決できないのが理解できるため、誠にかたじけなく存じます。重ねて、ドラセム卿によるご支援、王国軍のご支援、大変助かっております」

「対策を行うにも情報が必要である。南西の、辺境国と呼ぶのか、魔物たちのことを教えて貰いたい。聞けば人型の魔物だけによる軍隊だとか」

「はい、私の知りうる範囲でお話させて頂きます」


アルメルス神国もガーライト王国も無かった昔、今の神国の領土は魔物の領域であった。人型の魔物も、ゴブリン、オーク、ハイオークなどそれぞれが村を形成していたなか、ダークエルフも少人数ながら基本的に全員が魔法使いであり独自の地位を確保していたらしい。細々と暮らしていた人類に対して、基本的に魔物はエサや生殖の相手とされていたが、ダークエルフだけは言葉も通じることもあってか、他の魔物たちからの扱いとは一線を画していた。

今の首都ダラム辺りにもダークエルフの集落があり、人類はその使用人のように暮らしていた。あるときダークエルフに教えられた魔法を使う者を中心として、他の地域の人類とも団結して魔物たちを駆除して行き、人類の領域を次々と確保していった。

そして、ダークエルフたちも含めてほとんどの魔物を駆逐して今のアルメルス神国の領土を確保した。追いやった先が南西のロージアンの先の辺境であり、ダークエルフたちの施設の上に教会施設を作って大きくして行ったのが首都ダラムである。

そのため、ダークエルフたちは自分たちの暮らしていた、今はダラムと呼ぶ土地を奪還したい思いが強く、辺境の特に人型の魔物たちをまとめ上げて神国への侵出を図って来ていた。


至高教団の教義としては、デメテル神の支援で天使召喚力、治癒力、戦闘力を高めた集団が現れて建国したとして、ダークエルフも単なる魔物として扱われているが、実態はダークエルフがきっかけだった。


神国も対抗する力が劣って来たのと、辺境国が強さを増してきたこともあり、冒険者たちを使って防衛しつつ、他国への逃げ道も模索していたという。

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