第716話 港町ホーマ2

港町ホーマで拠点購入をしている間に、トリストフたちに収集させていた情報を確認する。


事前にわかっていた範囲で言えば、ガーライト王国でも一番西側の港町であること。漁村ぐらいはまだ西側にあるが、最低限の規模であるのがこのホーマであり、当然に戦争中の西側隣国アルメルス神国への海軍としての最前線基地でもある。

ガーライト王国は海賊に私掠許可を与えて海軍の一部にしていることもあり、海上ではアルメルス神国に対してかなり優位な立場にある。そのため、略奪して来た物資も含めて商売の品に困ることがなく、また今回のミケラルド商会のように、コルマノン王国などのあるユノワ大陸にも一番近いので貿易港としても栄えている。


そもそもこのガーライト王国は、海賊や山賊などが跋扈(ばっこ)していて治安が悪かったエリアを、元冒険者であった現国王が力で平定して国家を樹立したという。国王への国民の信頼は高い。力が強ければ成り上がることができるという国であり、その在り方が、アルメルス神国とは合わないことは十分に理解できる。


また、アルメルス神国との陸路での国境に関しては、最南部では険しい山が、それより北側から海岸まではほぼ魔物にあふれる魔の森であるという。その魔の森を東西に切り開いた街道が現実的な陸路での国境線とのこと。

魔の森の手前にあるセントハムという街が、陸での最前線基地を兼ねている。互いに大軍を率いて攻め込むにも、魔の森に軍勢を入れてしまうと魔物を刺激して損傷が激しいことから、軍勢を送り込むには狭い街道で進軍することになり、魔の森を抜けたところにあるそれぞれの最前線基地を乗り越えることができない。

そのためこの2国間での戦争は、陸路では実質的には膠着状態、海路ではガーライト王国が優位というところであるが、海上でいくら優位であってもそこから占拠するための兵力を送り込むほど優位なわけではないので、長らく国境も変化しない戦争状態である。


となると自然と増えるのは裏工作であるが、そちらでは国家として未熟なガーライト王国が後れを取っているという。

「確かに神国はしたたかそうだったよね」

皆が納得する報告内容であった。

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