女潜入者サラ

第711話 渡航準備

港町ラブリニーで、ミケラルド商会のガーライト王国への貿易船のメンバと顔合わせを行ったサラたち。

ミケラルド商会の船は外洋にでるため帆船であり、荷物もたくさん積める大型船である。一方、サラたちが今回鹵獲した密航船は、神聖騎士団の裏部隊を送り込むのが目的であったので、そこまでの大きさではない。


途中でガーライト王国の海賊船と遭遇する可能性も踏まえたときに、戦闘員を2隻に分散するのだが、トリストフたちはサラたちに安定性が高そうなミケラルド商会の船を勧め、自分たちは鹵獲した密航船に乗り込む。

万が一のときも踏まえて、それぞれの船で水精霊シルビーを召喚して、シルビー経由で伝言できるようにしておく。


ミケラルド商会の商船には元々5人の護衛部隊が居たところにサラたちが追加になったので、倉庫の一つをサラたちにあてがって貰うため、そこにあった荷物をサラたちの魔法の袋に収納することになった。大型倉庫に入れていなかった高級品である。聞けば、サラが納品した特級魔法回復薬やスクロールも対象とのことで、奇妙な縁を感じる。


最終的な目的が目的のため、ガーライト王国へ行く際に、通常ならアルメルス神国の港に一度立ち寄りをするのだが、神国には寄らないため補給をせずに約4週間続けて航海できるだけの飲食料を積み込む際にも、サラたちの魔法の袋を活用する。

飲食料を腐らさないため≪時間停止≫機能が非常に有効であり、また容量が大きいのでミケラルド商会から納品を打診されるが、戦争時に敵対相手が使用する可能性も出るため気軽に了承はできなかった。もともとミケラルド商会も分かった上での打診であったようで、特に問題は発生しない。大口取引先であり、新進気鋭の伯爵家でもあるサラたちとの友好関係を維持するため、でもあろう。


港町ラブリニーを出発して1週間たたずに、目的のコリサ大陸が近くになるが、神国には寄らずにそのまま東に向かう。出発して2~3週間は、ときどき雨や風などがあっても特に問題なく順調に航海は進んでいく。

サラたちは久しぶりに急ぐことが無い空き時間ができたのでのんびりすることに慣れていなく、結局はミーナたちへの魔法指導の時間にあてることになった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る