第702話 孤児誘拐
結局、夜に巡回させていた各班からはめぼしい情報が入らないと焦っていると、いつの間にかサラの本宅の門の近くに、目隠しをされて傷だらけの気を失った女性が転がされていた。行方不明になっていた、孤児院運営の大人であった。
発見されると直ぐに回復魔法で治癒をした上で事情を確認する。
「散歩中に、横道に子供たちの気を引かれて呼び込まれたところを囲まれて逆らうわけに行かず、目隠しをされて誘拐されてしまいました。気がついたときには、広い屋敷の中のようでしたが、あちこち薄汚れていて手入れはされていない場所のようでした。隙を見て子供たちと逃げ出そうとしましたが失敗したので、私は暴行されてしまいました」
「どうして1人でここに?」
「サラ様への伝言役です。サラ様1人で指定場所に来るように、とのことです」
「子供たちの居る場所かな?」
「おそらく。もし子供が居ないところであれば、有効に子供を人質に使えないでしょうから。即時で連絡を取る手段が無いならば、サラ様が≪結界≫で閉じこもってしまうと手出しできなくなりますので」
「で、その指定場所というのは?」
「こちらの紙になります」
「富裕街の端のようですね。本当にお1人で行かれますか?」
「そうね、精霊たちは召喚しても、まずは1人で向かうべきかな。遠巻きにはいつでも踏み込めるようにして貰うのと、その敷地の持ち主などを調べておいて、宰相たちにも連絡しておいてね。裏をかかれるかもしれないから、巡回にまわしていた全員をその屋敷に向かわせずに、本宅などにも分散しておいてね」
「かしこまりました」
サラは指示通りに1人で富裕街の端の屋敷に向かう。サラが見えないぐらいかなり離れて、ティアーヌたちは後から現地に向かう。
門は空いていて、敷地の中に入ると、目隠しをされた子供たちが庭の奥に連れ出されてくる。見えている誘拐犯たちは7人であり、子供たちの側が2人、門から逃げられないようにサラの後ろに出てきたのが3人、サラに近づいてくるのが2人である。きっと屋敷の屋根の上など見えないところにも隠れている者がいるとは想像される。
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