第701話 神国の恨み3

襲って来た2人を、猿ぐつわをした上で縛り上げながら、様子を見ていた野次馬の一人に衛兵を呼ぶように声をかける。

縛り上げ終わった2人を横道から連れ出そうとしたサラとティアーヌ。


その隙を狙われたのか、横道の屋根の上と思われる場所から飛んできた短剣が捕虜2人のうなじに突き刺さる。サラは慌てて回復魔法をかけるも即死だったようである。


駆け付けて来た衛兵に、野次馬の証言も交えながら経緯などを説明する。

念のため、と衛兵の詰め所に2人の死体と共に同行した後、死体を調べても所属を示すものは何も見つからなかったと言われる。

時期的に神国からの刺客かと思われたが、レーベルク帝国でもアルテーラ王国でもサラを邪魔に思う者が居ないわけではなく、証拠が無いのでそれ以上は追跡ができないとのこと。


サラは宰相に念のため報告すると共に、家臣団の皆にも共有し、さらなる注意喚起を行う。今までは2人以上で行動するようにしていたが、念のため3人以上での行動を基本に変えた。

その効果か、しばらくは何事も無いままであったが、逆に酷いことになってしまった。サラが運営する孤児院の子供たちが狙われてしまったのである。


それが発覚したのは夕方、散歩に行ったはずの孤児院の一部の子供と面倒をみている大人が帰ってこなかったからである。まさかそこまで非道とも思っていなかったのもあり、大人1人と孤児3人の組み合わせで王都内を散歩させていたのだが、その1組が帰宅しなかった。

この時期なので単なる誘拐ではなく、神国の関与を疑う。王都の城門のチェックを抜けられないであろうから、王都内に幽閉されていると考えられる。となると、スラム街か、神国に内通している貴族か商人の館あたりと想定される。

罠とは思いつつも、何もしないわけにはいかないので、代官地からも第1騎士隊と第2騎士隊を呼び、近衛騎士隊と魔術師団の数十人を何班にも分けて、スラム街、貴族街、富裕街に派遣して巡回をさせる。当然それぞれの場所で別のトラブル発生が想定されるため、スラム街は元住民のミーナ経由で事情を説明し、貴族街や裕福街には衛兵経由で通達を出して貰う。

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