第670話 王城新年パーティー
時間は少し戻り、1月1日の新年の王城。毎年恒例の国王とのパーティーが行われていた。
王都に居る法衣伯爵であるサラも当然参加義務があり、仕方なしにドレスや化粧などで着飾って登城している。
貴族のみ入れるパーティー会場に行くまでは、家宰ローデットと従士長ハリーの2人を連れて移動しているのだが、減ったとはいえ仕官希望の申し出が多い。
結婚については、先般の法衣侯爵の好色令息の噂がまわっているようで、美貌を褒められることは有っても、そこまで踏み込んだ話にはなっていないのが幸いである。
王国魔術師団長ブロワール・レデリクスがサラを見つけると歩み寄って来る。
「アルテーラ王国の後はまたレーベルク帝国と大活躍のようですな。魔術師団員たちがなかなか指導を受けられていないのを寂しがっておりますので、また時間を作って顔を出してくださいね」
「ご無沙汰しており申し訳ありません。はい、またお伺いいたします」
「王級以上の魔導書は無いままですが、面白い物を入手したので、ぜひお越しを」
次に話す機会を得たのは宰相である。サラは何かと会っているので特に珍しくも思わないが、この国の最上級の地位にあるのが宰相であり、
「今年も色々と頼むな」
という一言程度で次の人物の挨拶へと移動していった。
その後、国王との挨拶も無事に終え、義務は終わったと屋敷に帰るサラたち。
サラは王国魔術師団長の言葉が気になり、翌日にはドラセム家の魔術師団長であるティアーヌを連れて王国魔術師団の敷地に向かうのであった。笑いながら歓迎してくれるレデリクス。
「さっそくのお運び、ありがとうございます。では出し惜しみせず、まずはこちらの魔導書をご覧ください。ゴーレム魔法の中級≪石人≫で、ストーンゴーレムの製作ができるとのこと。残念ながら魔術師団のメンバでは初級も習得していないので発動できておりません」
その言葉を聞き、今日の実演は、初級≪木人≫を発動してウッドゴーレムを動かすことを見せることを主にしつつ、自身はその魔導書を読み込み中級≪石人≫を習得するのであった。
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