第660話 悪魔教団本拠地大広間3

巨大悪魔の召喚主の魔力切れも期待していたが、上手く行きそうにない。

そうこうしているうちに、帝国軍が大広間に到着してしまう。

「なんだ、あの巨大な悪魔は!?」

「攻撃しろー!」

弓矢や魔法を広間の入口から放ちだすが、当然に効果は無い。


ハリーが帝国軍の指揮官に話をつける。

「ここは私たちに任せて引いておいてください」

「わかった。私たちでは役に立てそうにない。ここに転がっている捕虜らしき連中を連れて行けばよいか?」

大広間で追加確保した4人も下着以外をはがしてハリーの魔法の袋に収納しておく。その上で、捕虜9人の扱いを任せる。魔法使いは捕虜にしても逃げられやすいため、奴隷商も外に待機させているらしい。すぐに犯罪奴隷の契約魔法を行うことで、脱走や自殺をさせないようにするとのこと。


サラたちも周囲を気にしなくて良くなったので、再び強力な攻撃魔法などを使用しだしたが、やはり互いに≪結界≫を活用しているため、解決の糸口が見つからない。


だんだんと皆の呼吸が荒くなってきたところで、トリストフが気付いたことをサラに、風魔法を使って耳打ちする。サラもなるほどと理解し、皆に声をかける。

「大広間を小さくして、巨大悪魔の移動先を限定して!」

≪石壁≫ができる者はそれで、無理な者は≪土壁≫≪氷壁≫それも無理な者は≪炎壁≫を、自身や精霊などに命じて大広間を区切って行く。巨大悪魔も≪結界≫を解除しないことにはこちらの壁を≪魔法消滅≫できないため、だんだんと小さな領域に追い詰めて行く。

「こちらの移動場所を狭くしてどうするつもりだ?≪結界≫を破れないと攻撃も効かないぞ?」

黒ローブの言葉は無視して作業を進めると、魔法で作られた壁によって、巨大悪魔とその肩に乗せられた黒ローブが≪飛翔≫で移動できないほど小さな領域に閉じ込められる。

「これで閉じ込めたつもりか?」

笑いながらある一方の壁を≪魔法障壁≫で壊して移動してしまう巨大悪魔たち。サラたちは気にせずに消えた壁を≪石壁≫で再構築する。黒ローブたちの移動先も小さな空間であり、同じ繰り返しに見えた瞬間、黒ローブが倒れ巨大悪魔であった石像も崩れ落ちる。

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