第651話 帝都到着

龍の棲む山を越えてから約2週間、帝都を目指してバトルホースで駆ける6人。

従魔のワイバーンたちを連れていないだけマシであるが、やはり目立っていたとは思われる。それでもロワイヤン近くの国境からの主街道を通るよりは、知れ渡る範囲は小さいと期待していた。通報されにくいように宿も使用せず野営ばかりで、用事があるときには夜だけ王都ワーズに転移することを繰り返したのもあるからである。


しかし、帝城にて皇帝派の宰相と会ったときには、サラたちと思われる6人組が帝国内を猛スピードで移動しているという情報は伝わっていたようである。

「神国への対応に困っているところへようこそお越しくださいました。向かって来ている情報を聞くと、待ち遠しかったです」

「今、どういう状況なのでしょうか?」

「1年以上前、神国から使節団が来ました。悪魔教団などというものを利用している帝国は悪の権化であり、国民の信仰をあるべき姿にするために、豊穣の女神デメテル様を祀る至高教団の教会の強化に協力するように、と。もともと存在するデメテル様の教会は至高教団のものでないのと大きさなども不満なようで、帝都に巨大な土地の拠出とその費用の奉納も強制する、非常に高圧的な態度でした」

『コルマノン王国に来た使節団長も酷かったし、神国はわざと怒らせることを目的に人選したのかな』

「主な武闘派は皇弟派であり悪魔教団とのつながりも強かったこともあってか、使節団を襲い幽閉してしまったのです。その上で一部の使節団員を神国に帰らせて、侮辱に対する謝罪者の追加派遣を要求してしまいました」

『さすがに幽閉はどうかと思うけど』

「それからしばらく何事も無かったのですが、まず新たな神国の使節団がやってきて現状を確認した後、一部の使節団員が神国に帰ったと思ったら、この前に軍団がやってきたのです」


長旅で疲れているであろうから、今晩はお休みを、と帝城の来客用の棟を借りることになった。まだ日が高い間であったので、街に出て魔道具屋で増えた従士団メンバに配るための適当な魔剣を調達したり、魔法回復薬を調合するための薬草や薬瓶を購入したりした。

また、この帝都にも転移陣を設置するための邸宅を購入するために下見も行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る