第649話 神国使者アッズーラ後日談

それから2ヶ月ほどして、魔の森の開拓地、住宅が主の第3区、農地が主の第4区の開発も目途が立ち、購入希望者に順次販売を開始しだした頃、宰相から呼び出しを受ける。


「魔の森の開拓は順調なようであるな」

「はい、お陰様でございます」

「それはさておき、アルメルス神国の使者アッズーラ達は覚えているか?」

「はい、天使を召喚できた女性ですね。1年ほどになりますが神国に帰国しているのですよね?」

「そう、そなたたちにアルテーラ王国に行って貰っている間に神国に帰国したはずであった。ただ、今はレーベルク帝国に居るらしい」

「もしかして、当時に言っていた帝国への別の使者の安否のためですか?」

「そうだ。神国から様子確認のために向かったらしい。そう、想像がついたであろうが、揉めているようである」

「・・・」

「分かったようだな。帝国に行って貰いたいのだ」

「帝国と神国の間のことなのになぜでしょうか?」

「一言でいえば、高度な政治判断である。今、帝国の皇帝派とは友好関係にありつつ、帝国内は皇弟派との勢力争いが続いており帝国が弱体化していて、コルマノン王国としてはちょうど良いバランスである。ただ弱体化している帝国に、アルメルス神国が侵略をして強大になるのは困るのである」

「何となくはわかりましたが、神国はそんなに強いのでしょうか?」

「狂信的な神聖騎士団という回復など神聖魔法も使える屈強な者たちが居る。今回、帝国には悪魔教団という狙い撃ちする相手がはっきりしたので、その神聖騎士団を送り込むという話があるのだ。帝国皇帝にも神国アッズーラにも面識があるだけでなく恩を売っているそなたが上手く調整して来て欲しい」

「冒険者ではなく王国貴族として、でしょうか?」

「現地で臨機応変に使い分けて貰えば良い。その最終結果で報酬の内容・渡し方も検討する」


拒否権がある内容ではなさそうなので受諾する。サラは仲間たちと相談し、転移陣をうまく活用するために、まずはサラの冒険者パーティー程度で帝都まで行き、そこに必要に応じて応援を転移させることになった。

残るメンバには、開拓済み4区画に隣接する東と北の5区画分の開拓をしながら、ダンジョンも用いて訓練をしておくように指示をする。

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