女代官サラ
第644話 代官業務
図らずも官僚たちの思い通りに、サラたちの開拓地に家臣以外の住民が住むことを希望しだしたことで困惑し、官僚達へ相談することになったサラたち。
「以前にもお話しましたように、この魔の森の開拓地は、ドラセム伯爵の領地ではありません。そのため、もし家臣以外の住民が住み出した場合には、開拓村の代官という位置づけになります」
「それは何となく理解します」
「開拓地を切り売り販売することはできますが、領主ではありませんので税の徴収率等は自由に設定できませんが、王領と同じ税率で徴収した税のうち、王家に上納する以外の額については、開発などに使用いただいても構いません。また、基本的な逮捕権・裁判権や職員に対する人事権もドラセム伯爵にあります。ただし、村民の台帳管理や出納管理、紛争処理なども全て自ら行っていただく必要があり、我々はお手伝いできません」
「わかりました・・・」
「また何かわからないことがあればぜひご協力いたしますのでご連絡ください」
と、宰相や官僚たちの手の上で踊らされている感がするが仕方ない。
家宰ローデットに相談し、彼女の父であるヴァーヴ侯爵の執事の伝手も使って、代官地の職員を探す。以前から仕官希望であった人たちも含めて、優秀ではあるが伝手が無くて働き先に困っていた、官僚の子弟、貴族の執事や家政の子弟などから5人を選抜し、雇用することに。いずれもローデットの配下として働くことにさせる。代官地の職員であり、サラの魔法等との縁は遠くなるはずであり、一般雇用にすることにした。
また、家臣団以外の住民が増えると、外部への防衛だけでなく中でのもめごとに対応する衛兵が追加で必要になる。ある程度の武力も必要になるため、元盗賊の犯罪奴隷を候補にすることにした。ただし、コルマノン王国の中では知られた顔も居るかもしれないため、アルテーラ王国の王都ゴルガで10人購入することにした。そこで新天地で心機一転、まじめに働いてもらうよう、その旨を命令もしておく。彼らは元々代官地の護衛隊をしていたアルバジルの配下への追加とし、もともと居た配下7名には先輩として10人を指導するよう頼む。
この開拓作業の間に新年になり、新たに職業訓練をする8歳になった孤児のジョエメとアナトビも、周りの状況を見ていたので、代官地での家政業務に就きたいとなり、そこで生活や業務をすることになった。
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