第635話 悪魔アエグルン

魔法を使えない相手は、ハリーたちに対処を任せて、黒ローブ3人だけ厳重に取り囲んで他から見えないところに連れて行く。


そしてこっそり≪魅了≫をかけた上で、レーベルク帝国との国境に近いコルマノン王国の辺境の森に行ったことがあるかを確認する。サラの母の仇、アルベール・リリアナの母の仇であるかの確認であるが、3人とも足を運んだことは無いという。

後は魔道具や魔導書の没収をしようとしたが、魔法発動体の杖以外では、召喚している悪魔の魔導書ぐらいしか目ぼしいものは無かった。

悪魔の真名はアエグルンであり、サラがその魔導書をみて話しかけると素直に応じた。

「アエグルン、私と契約を結ぶか?」

「しかたない。従おう」

ということで、細かいことは後にすることにして、サラはアエグルンから魔導書を入手し、≪契約≫と≪召喚≫を確認する。


黒ローブ3人へは≪睡眠≫の短剣で眠らせて縛り上げる。その他の生存者34人も縛り上げておき、死体は魔法の袋にしまう。

ハリーと数人にゴルガの街に向かわせて、衛兵とタカマーノに話をつけつつ、馬車を購入して魔法袋にしまって戻って来させる。


その間にサラは、水精霊シルビー経由で宰相に連絡を取ると、

「少なくとも魔法使い3人は奴隷として持ち帰るように。魔法後進国であるアルテーラ王国に、上級の魔法使いを残したくない。元海軍については扱わせる軍船があるわけでもないので幹部以外の扱いは任せる。元海軍の幹部と帝国軍人からは情報収集をしたいので、王城まで持ち帰るように」

と指示をされる。

他国人を連れてであると、ますます転移で気軽に帰国できなくなったと思うサラ。


タカマーノ及び衛兵と一緒に馬車が来たので、拘束した40人ほどを乗せて王都ゴルガに戻る。道中でタカマーノとは

「あくまでも海軍閥による襲撃ではなく、元軍人の盗賊による襲撃という扱いにする」

ということで合意となり、奴隷商人に犯罪奴隷の手続きをすることになった。

そのため、元海軍閥の幹部は犯罪者ということもあり廃爵となった他、それらの屋敷なども没収となった。もちろん一部はサラたちの物となることになったが、転移先として家が1軒はあってもいいが、後は扱いに困るため売却した。

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