第631話 タカマーノ疑惑3

「わかった。俺が気楽にのんびりするためにも、今回は長兄派ではなく次兄派に、だったのだな」

というダニエーレ王子に対して頷くタカマーノ。

「できれば、彼女たちが去った後に聞いて欲しかったのですがね・・・」

とつぶやきながら、

「ということで、原本を頂けますかな?それを第1王子派に渡すことで、我々の立場を確保しますので」

と言われて、原本を渡す。

「ありがとうございます。やはりお持ちでしたね。第1王子派から貰う報酬のうち、ミスリル貨1枚だけはダニエーレ王子のお小遣いに分けて頂いて、残りを決闘景品ミスリル短剣の代替にいかがでしょうか」

「えー。ともにうちが渡したものじゃないのか」

と漏らすハリーに対して、

「私が両方から報酬を貰うことで、2倍になったのですから、それでご勘弁ください」

と返され、しぶしぶ納得するハリー。


結局、タカマーノは海軍閥にも情報網を持っていたので色々と裏情報を持っていただけで、さらになんだかんだとダニエーレ王子や陸軍閥のために働いていたのだと理解する。



数日して、再度タカマーノ宅に呼ばれ、第3王子も前にして報酬を渡して貰うハリー。

「じゃ、これでこの王都ゴルガでの用事も終わりかな。お元気で」

というハリーたちに対して

「サラたちはこの王都に留まらんのか?」

と懲りないダニエーレ王子。

「王子、こちらはコルマノン王国サラ・ドラセム伯爵御一行ですよ。金級冒険者の。レーベルク帝国との戦で活躍された魔女と言えば思い出されますか?」

「え?こんな若い?え?」

「では失礼します」

と王子を放置して、退去するサラたちとそれを見送るタカマーノであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る