第623話 銀龍
成り行きで一緒に行動することになったアルテーラ王国騎士爵のタカマーノとは、一週間の道程においてある程度話をするようになった。特にコミュニケーション上手のハリーが親しくなった。
その中で分かったのは、先にあったダニエーレ王子は第3王子であり、陸軍閥の側室の子で18歳。上には兄が2人居て、側室の子の第1王子と海軍閥の側室の子の第2王子が王位継承権を争っているらしい。アルテーラ王国では元々海軍が権力を持っていて、陸軍は弱小派閥である上に第3王子であることから王位継承の見込みは無いらしい。それもあってか、ダニエーレは将来に希望が持てなく自暴自棄にわがままに育っているらしい。
そのお付きに命じられているタカマーノも、権力の弱い陸軍閥の一員らしい。
その一方で、宿を利用した際に、水精霊シルビー経由でローデットやトリストフたちに連絡を取った際に、珍しくティアーヌが発言をして確認依頼していた結果も入手できた。
「タカマーノが漏らしたという、銀龍とは、サラ様の異名、二つ名、あだ名でした。銀髪美少女で龍も倒す魔法使い、魔女、それを略すと銀龍とのことです。ただ、コルマノン王国の王都でも使われていないように、あくまでも戦争で対峙したレーベルク帝国側での呼び方です」
と報告するローデットに対して、トリストフからは
「アルテーラ王国の一般市民では、コルマノン王国とレーベルク帝国の間で戦争があり、魔女が活躍してコルマノン王国が勝ったことまでしか知られていません。アルテーラ王国でも上層部になるともちろんサラ様の名前までは認識していても、銀龍の呼び方はしていませんでした」
と報告された。
「つまり、帝国とつながった情報網を持つ一部組織とタカマーノは繋がっている、ということね」
「帝国とつながっていたのって、海軍閥の一部でなかった?」
「陸軍閥のはずのタカマーノが、海軍閥しか知りえない情報を持っている?」
「なかなかややこしい話になるみたいね。要注意ね」
とタカマーノに対する警戒を強めるサラたちであったが、サラだけは
「龍ではなく地龍ドレイクや飛竜ワイバーンとしか戦っていないのに・・・」
とつぶやいていた。
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