第582話 バッソ領
港から少し離れたところで合流したサラたち。
乗員の言葉からアルテーラ王国から来たことは確実であるが、脱走兵なのか軍属のままなのか、この港の関係者、領主たちもグルなのか等は不明なままである。
水精霊シルビー経由で王都に残した家宰ローデット状況を伝える。ローデットから、港町ラブリニーの南東の岬の少し北の港ということは、港とその周囲の領地の名前が共にバッソであり、トロメーテ・ド・バッソという領地持ち男爵の支配地であるとのことである。
ローデット経由で宰相にも報告して指示を仰ぐ。
その間に港町バッソの様子見を兼ねながら、冒険者ギルドがあるのか、宿はどの程度のものがあるのか等を調べに行く。一番大人であるティアーヌ、ただ女性エルフであり要らぬトラブルが発生したときの対処のためにハリーとアルベールの男2人の3人に行かせる。
元暗殺者の12人の誰かが居れば、もっと情報収集も楽だったのかと思うサラであった。
帰って来たティアーヌたちの話では、寒村と言うほどでは無いが、規模は小さい街であるとのこと。陸運と海運のつなぎにもなるため、最低限の冒険者ギルドや宿もあるのだが、近くに王領で国際港である港町ラブリニーがあるため、どうしても終着点ではなく宿場街の位置づけであり、伸び悩んでいるらしい。ただ、最近は金払いの良い集団が母港にしているお陰で景気が良いとのこと。
宰相からの指示は、王都から視察官が到着するまで2週間はかかるであろうから、それまでの間に少しでも情報収集をしておいて欲しい、というものであった。
サラたちはその分野の経験があるわけでもないため、まずは王都から元暗殺者ギルドの12人、トリストフたちを急ぎ呼び寄せることにする。
小さい街で部外者がたくさん泊まって目立つわけにもいかないので、情報収集にいった3人以外は、ワイバーンのワンも含めて野営することにする。港を見下ろす小山に拠点を設けて、真っ黒な船の動向を見張る。
その間に、ティアーヌたち3人は宿に泊まりつつ、街の中での情報収集を続ける。男爵が海賊船とつながっているのか、海賊船は脱走兵なのかアルテーラ軍属のままなのかが一番知りたいことであるが、素人3人が下手な失敗をすることも懸念して、無理はしないようにする。
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