第578話 海賊襲撃2
ようやくたどり着いた救難艇は、8人全員はとても乗れそうになく、せいぜい5人程度にみえた。そこで護衛対象であるアッズーラ主従の神官2人をまず乗せて海面に落とす。その上で≪飛翔≫できるティアーヌが、一番体重が軽そうなリリアナを抱きかかえて飛び、サラを除いた残りメンバが救難艇に乗る。
当然敵もそのまま見逃すわけで無いが、1人自由に≪飛翔≫するサラが精霊たちも≪召喚≫して遠慮なく魔法を発動させることで、何とか商船と敵船の付近から離れるが、隙をついて放たれた敵の≪火槍≫攻撃で救難艇は運航不能になってしまう。
サラはまだ商船で生存者が居ないかを≪飛翔≫で飛びながら探して離れているため、
「溺れてしまいます。私たちを抱えて飛んでください」
という男性神官に対して、少しため息が出ながらティアーヌが
「まず落ち着いてください。ハリー以外は≪水中呼吸≫と≪水泳≫を発動して、それをアッズーラ様たち2人とハリーにかけてあげて」
と仕切る。
「はい、魔法の発動が終われば、次は敵から目につかないように救難艇から降りて海面に浮かびましょう。続いて、少しでも陸地に向けて泳ぎ始めておいてください」
「リリアナ、あなたから陸地に運びますね」
とティアーヌは陸地に≪飛翔≫でリリアナを連れて行く。
戻って来たティアーヌに男性神官は
「なぜ私たちが先でないのですか?」
と言うが、
「陸地で、もし魔物や敵が現われたときに対処できる者が先に必要だからです」
とティアーヌは冷静に返す。ただ、ティアーヌは実際はどうしても甥や姪のように思うアルベールとリリアナが優先であり、次はアルベールを陸地に運搬するのであった。
その後は、商船の生存者救命を諦めて合流したサラとティアーヌが手分けして神官2人を運び、その後に仲間たちも運ぶのであった。
港町の南東の岬であるこの陸地は、幸い魔物はあまり居ない場所であったようで、船で襲撃して来た海賊たち以外の敵も居なかった。
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