第575話 女性神官願い
「レーベルク帝国に向かった使節団も心配です。私たちを帝国に連れて行って貰えないでしょうか」
と女性神官アッズーラは頭を下げる。
代官は弱った顔で答える。
「使節団が襲撃されたことに同情は致します。可能であればアルメルス神国までならば送って差し上げたいところですが、コルマノン王国の海軍に余裕は無いため、こちらラブリニーの港町で、神国からの追加の迎えが来られるまで滞在頂くことへの支援はさせて頂きます。ただ、レーベルク帝国とコルマノン王国との関係を踏まえると、なおさら我々がアルメルス神国のあなた方を帝国にお連れするわけにはいきません」
「そこを何とかお願いできないでしょうか」
「率直に申し上げますと、命からがら逃げられただけのあなた方は持ち合わせも無いでしょうから、滞在への支援だけでご容赦ください。この度の使節団が我々コルマノン王国へ来られた目的や対応態度などを踏まえても十分だと思いますが」
帝国戦での粗探しにより至高教団の神殿構築でも押し付けようとしに来たこと、また使節団長の失礼な対応などを振り返ると、それ以上は何も言えないアッズーラであった。
サラはアッズーラ個人に思うところは無かったが、国家間の外交に口を出せる立場でもなく、ただ事実を水精霊シルビー経由で王城にも報告を入れる。
すると意外なことに宰相から早々の返事があり
「王国として表向きに支援することは外交上で問題になるが、帝国第1皇子に対してもしたように冒険者としての支援ならば言い訳ができる。また心理的には実質的に王国に貸しと思わせられる。もし彼女から報酬を取り損ねても神国から、それでもダメならば宰相から報酬を出すので、帝国に連れて行ってやるように」
との話であった。
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