第573話 女性神官回復

サラは姿を見せないように天使マルカルロを≪召喚≫して、自身の≪上回復≫と合わせて≪病回復≫や≪王回復≫で女性神官アッズーラの治癒を行う。

ついでに、お付きの男性神官も包帯をしていたので、≪上回復≫を行っておく。


アッズーラが目を覚ましたので、男性神官が今の状況をアッズーラに教えた後、無理をさせないように軽い食事を取らせながら、簡単な話を代官と共に聞く。

「ドラセム伯爵、治療をして下さったとのこと、誠にありがとうございます。神官として自身が治療の対象になるとは恥ずかしい限りです」

「それは良いのですが、どうされたのか簡単に教えて頂けますか」

「はい。王都での用事を終えた私たちはこの港町から神国へ向けて船を出しました。ある程度進んだところで、海賊国家ガーライト王国の海賊と思われる船に襲われ、船員も使節団員もその場でかなり殺されました。使節団長ペネム・カプラーノはあの口調ですので海賊の機嫌を損ね真っ先に。私たち2人は天使シュリエル様の力も借りて救難艇で逃げようとしたのですが、力尽きて気づけばこの状態でした」

「分かりました。詳細はまた明日に教えて頂くとして、本日はこのまま栄養を取られてゆっくりお休みください」

と代官も言い、2人を残してサラと共に退室する。


代官に連れられて会議室に行くサラたち。

「正直、怪しいですね。ガーライト王国への内通も疑うべきと思います」

と代官補佐官は言う。

「私たちには判断しかねます。宰相からのご指示の治癒も終わりましたので、明日まで様子を見て何事も無ければ王都に戻ろうと思います」

「え?あ、そうなのですか?」

と代官には驚かれるが、サラは悪魔ストラデルと契約している身であり、至高教団と関わってわざわざ面倒に巻き込まれたくない。


そのまま代官の案内する宿所で、王都のリリーや伯爵領都の師匠エミリーたちに状況の伝言を頼み、リリーたちからはローデット経由で王城にも状況報告をして貰うことにして、日課の魔法訓練などをしてから休むのであった。

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