第572話 港町ラブリニー

ローデット達から、アルメルス神国の使節団がガーライト王国に襲われた噂を聞いた翌朝、王城からの使者が訪れる。

宰相からの命令で、王城に登城することなく急ぎ港町ラブリニーに向かえ、という内容であった。どうも襲われた使節団の生き残りがラブリニーにたどり着いたが容体が良くなく、急ぎ駆け付けられる上位の回復魔法使いが少ないのと、その後に発生する可能性への対処能力も含めて、サラたちへの指示のようである。

ラブリニーの代官への書状も預けられ、サラは急ぎ出発の用意をする。


魔の森の開拓地の横の小川がもう少し大きければ船で海まで向かえるもしれないが、今回は戦馬バトルホースによる急行便になる。ロワイヤンから辺境の森に急ぐときには≪飛翔≫も使用したが、王都から港町ラブリニーへはしっかりした街道もあるのと、≪飛翔≫への目撃者があまりに多くなることによるトラブルも回避したいからである。


戦争に行くのではないので大人数ではないが、最低限として最近の冒険者パーティーでもあるハリー、ミーナ、アルベール、リリアナ、ティアーヌの5人と、子供ワイバーンのワンで向かう。

何かあったときには王都に残すリリーやトリストフ達と精霊による伝言で連絡を取ることにする。


馬車で2週間の距離であり、バトルホースによるサラたちはその半分ほどの日程で到着する。到着してまず代官に挨拶に行き、宰相からの書状を渡すことで、使節団の生き残りの治療所に案内される。

そこに居たのは、天使を召喚できた女性神官アッズーラと、そのお付きの男性神官の2人であった。アッズーラは意識不明とのことであるが静かに眠っており、男性神官は普通に会話できる状態であった。孤児院の視察の際にもついて来ていたので顔だけは分かるため、

「これはドラセム伯爵、わざわざのお運び誠にありがとうございます。どうかアッズーラ様をお助けください」

と深々と頭を下げる。

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