第567話 孤児院視察

何とか閲兵式が終わりホッとしている翌日、突然の前触れ連絡が来る。

アルメルス神国の使節団がサラの本宅を見に来るというのである。


慌てたサラは魔剣ストラデルを忘れずに≪収納≫に仕舞っておきながら、お茶菓子の手配などをする。

高級な馬車で現れたのは、使節団でも昨日戦わされたマース神の女性神官アッズーラと何人かのお付き、そして王国側の外交官であった。


到着早々、孤児院をみせるように言われるため、案内をする。20人の孤児を収容できるだけに拡張しているが、まだ7人だけであるので広々としている。

「最近運営を開始したところなので、まだ数は少ないですが」

と補足すると

「孤児それぞれの笑顔が自然で、大変良い環境で育てられているのだと認識できました。このような孤児院を運営されている上に天使も召喚できるドラセム伯爵ですから、問題ないと神国には報告いたします」

と告げられる。


その後は本宅の応接にて来客たちにお茶やお菓子を振舞う中で、アッズーラはボソッと愚痴をこぼす。

至高教団で主神とされるデメテルでない、戦の神マースの神官であることの差別、ただ天使を召喚できるから今回の使節団のようにいい様に使われはする、ということらしい。

確かに昨日の使節団長の発言や行動は相当であったと理解するサラ。


その後は、まだ新築に近い本宅を案内する中で、多くの祠をおさめた部屋で、主にハリーが使用する戦の神マースの祠を見て、なおさらアッズーラは複数年にわたり丁寧に大事にされていることを認識して喜ぶ。またマースを信仰するハリーの手を握り、これからもよろしくと言われるが、若い女性に近づかれて赤面するハリーであった。

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