第558話 神国使節団

サラが伯爵になり寄親になれる立場になったことから、最近の注目株であるドラセム家の寄子になりたいという希望がいくつも寄せられる。ただ、新規貴族ではない限りは既存の寄親が当然に居るわけで、その寄親とのトラブルを回避するためにも寄子は受け付けていない。

そのような貴族の付き合いについては、当初の予定通り家宰のローデットに頼っているが、最近はルーカイの元家宰であったブラハルトもローデットの補佐として活躍している。


そんな彼女たちが王城から事前情報を仕入れてくる。

別の大陸から使節団が来るというのである。今いるコルマノン王国、レーベルク帝国、アルテーラ王国のあるユノワ大陸の南側のコリサ大陸、そのコリサ大陸にあるアルメルス神国からである。名前の通り国王や皇帝が元首ではなく、至高教団という宗教組織の教皇が国家元首である宗教国家である。


外交官でもないサラは特に気にしていなかったが、帝国戦で功績を稼ぎ損ねた武闘派がこの機会にサラに対して嫌がらせをしようとしている噂もあるらしい。具体的に何をされるのか分からないので対策のしようも無かったので、自然体で居ることにした。


孤児院の運営などで付き合いのある神官からは、

「ドラセム様はあまりご存知でないかもしれませんので、念のためにお話させて頂きますね」

という前置きがあった上で、アルメルス神国の至高教団について教えてくれた。

「至高教団は、豊穣の女神デメテル様を主神として、その他の神々はその従神とみなしており、デメテル様を至高と崇める教団です。そのため、例えば戦の神マース様や知識・魔法の女神ミネルバ様を奉る神殿や神官はデメテル様の神官から見下されています。このコルマノン王国では、特に神々に優劣は無いため、デメテル様以外を祀る神殿や神官が多いですが、アルメルス神国ではほとんどがデメテル様の神殿であり、その敷地内に他の神々の祠があるような感じです」

「では、他の神を認めないわけでは無いのですね」

「はい、見下しているだけで敵視はしていないです。ただ潔癖すぎるところがある者が多く、その者たちは悪魔魔法など悪魔関係について厳しく対応するため、悪魔魔法も活用するレーベルク帝国とは不仲です」

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