第545話 王国魔術師団訓練場

団長レデリクスは魔法訓練場へ案内してくれる。

やはり片隅感はあったが、失敗したときのまわりへの影響があるためか、それなりの広さは確保されていた。


ちょうどその場所には2人の宮廷魔術師が練習をしていたが、団長が客人を連れて来ている姿を見ると会釈をしてから場所を空けようとした。

「空けなくても良い。それよりも何の練習をしようとしていたのだ?」

「上級魔法の習得を少しでも、と≪火槍≫の魔導書を手に練習していましたが、なかなか上手くできません。申し訳ございません」

というので、レデリクスは先ほどサラから渡された≪火槍≫のスクロールを2人に渡す。

「これは上級スクロール!貴重なのではないですか?」

「良い、お前たちが習得してくれるとそれ以上の価値になる」

「ありがとうございます!」


当然スクロールなので魔力を込めれば成功するのだが、

「イメージが分かりました!」

と、その後のスクロール無での練習でも規模は小さいながらに槍を生み出すことができていた。実例を見たことが無いとイメージしにくいのと、例えスクロールでも動きを実体験できるのは、魔法習得での重要ポイントなのであろうと改めて認識する。


サラ自身は、レデリクスに持参して貰った先ほどの≪岩槍≫の魔導書をこの場で改めて見させて貰い、丁寧に発動の練習を繰り返す。数度繰り返すとそれっぽい≪岩槍≫を発動させることができた。

それを見たレデリクスは、やはり指導員として早く宮廷魔術師に迎えたいと改めて考えるのであった。


ちなみに、ティアーヌも同様にその魔導書を見て何度か練習をすると≪岩槍≫を発動できるようになった。

サラは魔術学校の図書館でもまだ未習得の魔法があると思いつつ、ここにもときどき来て新たな魔導書を探したいと思うのであった。

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