第483話 国境橋攻防
崩御連絡後、国境においてしばらく待機していたサラたち。偵察からも帝国は準備を進めて西進しているという情報があったが、時間も経ちもしかすると第2皇子派は東の第1皇子派への対応に注力して王国には攻めてこないのかと思い始めた頃。
ロック鳥のガンは東から軍隊が来るという警報をハリーに伝えてくる。司令官である代官の息子やロワイヤンの街から派遣された兵士たちにも共有し、視力の良い者たちも物見をするとしばらくして同様の連絡が入るようになった。
ここまでくると待つだけである王国軍は、橋の東側に帝国軍が集まるのをじっと見ている。ただ、川の手前の王国軍は事前準備が出来ていたが、川向こうの帝国軍は森の中の街道に長々と隊列を組んで来ただけであり、川沿いに散るにも木々に邪魔されてまともな隊形を組めていない。
ただ、王国軍も仮砦などを構築してはいるが、大軍を配備できる地形では無いためここにいるのは2,000人ほどである。対して帝国軍は1万人ほどとの情報である。
帝国軍の進軍はいったん止まり、白旗をあげた使者が橋の中ほどまでやってくる。司令官である代官の息子もそれに応えて橋の中ほどまで進む。
「領民に圧政をしいている王国の支配階級を排除し、民を救うために帝国は立ち上がった。昨年は卑怯な手段により敗れたが弱腰の皇帝から、第2皇子であったホルストフ・サーヴィト・レーベルク様が皇帝になられた今、改めて王国の民を救うために宣戦布告する」
「前回も卑怯であったのは帝国と証明されたことを知らぬ上に、皇帝を僭称(せんしょう)する輩は、いくら軍の鎧を着ていても帝国軍ではなく単なる暴徒であると認知する。国対国の戦争ではなく、不法組織による略奪に対して王国は民を守るために全力を尽くす」
と、帝国の使者からの口上に対して、代官の息子も応じるが、まずの舌戦は王国に軍配は上がる。
「これ以上は剣により正しさを示させて貰う」
と帰る帝国の使者。それぞれが橋の東西に分かれ、自陣に戻ったところで互いに勝どきをあがる。
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