第479話 サラ成人祝

王都からヴァーヴ伯爵領都サイユへ運搬する物資も執事から受け取り、18人の騎馬隊で移動するサラたち。ロック鳥ガンも空をついてくる。

以前の6人ほどの移動と異なり18人の騎馬隊は他者からも目を引くようで、すれ違ったり追い抜いたりする旅人や商人からは興味深い目で見られるも、急ぎが分かるからか声をかけられることは無かった。


元暗殺者たちは王都ダンジョンでの訓練でも野営をすることが無かったので、今回の旅で野営や宿屋が初体験の者も多く、基本的には未成年の者たちなので興奮していた。もう悪魔教団の魔女による≪魅了≫の悪影響も無くなり、感情も豊かになって来たのが良く分かる現象であった。


領都サイユに到着すると、伯爵の館に面会を申し出て、待ち時間の間に、王都からの物資を指示された場所に広げていく。

「ドラセム子爵、良く駆けつけてくれた。また王都からの物資搬送、大変助かる。この後はロワイヤンの街に向かって欲しいが、まだ帝国の動きの報告は無いため、2~3日は師匠のところでゆっくりするが良い。これはわしからの成人祝である」

とヴァーヴ伯爵から、魔道具では無いが立派なネックレスを受領する。


その後は、いつものようにハリーの実家の宿屋に集まる。今回は大人数であることを、水精霊シルビーとエミリー伝いに言っていたので、その人数でも泊まることができる。

ここでも少し遅れたサラの成人祝をすることになった。


王都での成人祝と同様に、抱負を求められたが、いまだに結婚などは考えられず、今の延長としか言えないサラであった。


師匠エミリーからは、≪木人≫ウッドゴーレムを製作する魔導書を成人祝に貰うことになった。エミリーも、サラの急成長に負けぬよう師匠らしく魔法研究を行っており、様々な伝手で探して入手した魔導書であり、自身では習得済みである。

短い休暇の間ではあるが、水精霊シルビーの祠に行く以外に、この≪木人≫魔法のとりあえずの習得も行うサラであった。ゴーレム魔法は、死霊魔法でスケルトンを製作するイメージに出来上がりは似ているが、魂を呼ぶものではないので、主材料となる木材と核にする魔石による付与魔法の魔道具の製作のようであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る