第469話 逆恨み
父親に勘当と宣言されてしまった、ならず者たちのリーダー。実は子爵家の3男である。
「あんな小さな屋敷が子爵だと分かるわけないだろう。うちと全然違うじゃないか。こうなったら、戦争の英雄かなんか知らないが、絶対に許さねぇ」
と、小遣いだけでなく家から金目の物を持ち出す。
そして悪(わる)の伝手で、暗殺者ギルドに連絡をとる。
このギルドは冒険者ギルドのように全世界の統一組織ではなく、冒険者でいうところではクラン、つまりパーティーよりも大きな集団であり、同一の拠点屋敷などで連携するような集団である。王都のように大きな都市では暗殺者ギルドは大小さまざまなものが存在していて、連携もすることもあるが、互いに潰しあう隙を狙っている方がほとんどである。
彼が連絡をとった暗殺者ギルドは王都でもかなり上位の規模のギルドである。
持ち出した金品でサラの暗殺を依頼するが、情報が命のこの業界、その金額では割に合わないと断られる。断られると思っておらず激怒する「元」子爵家3男に、その金額でも受けるであろう暗殺者ギルドを紹介する。隙があれば潰したかった急成長の格下ギルド、格下のため低価格になる敵対ギルドである。そうとは知らない彼は、サラの暗殺をその紹介された暗殺者ギルドに依頼し、受理される。
その格下の暗殺者ギルドでもサラの暗殺が容易でないことは認識しているが、それだけ成功すれば更なる急成長が可能と考える。安全のため戦力の半分以上である20人で夜襲することにした。「元」子爵家3男は足手まといになると分かっているが、連れて行くこととその夜に襲撃することも依頼条件とされ、仕方なしに同行させることになる。
夜間の大人数による移動は目立つので、サラの屋敷付近で現地集合することにしている。隣の従業員棟を含めた敷地全体がターゲットである。
サラたちが魔法使いであることは事前情報でわかっているため、弓矢による遠隔攻撃も5人分用意してある。そして従業員棟の出入口から5人、その反対側の屋敷の塀から10人、隣と道路向かいの敷地の屋根に弓矢5人と配置した。塀の10人の中には魔法使いが2人いる。
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