第443話 停戦交渉2

「ふざけるな!帝国軍がこんな小娘の魔法でやられたというのか?お前たちはこの小娘の色香にたぶらかされているのか?」

と語気を強めるヘルネ伯爵。

対して、

「バカにするな!当日は仮面で顔も隠した小柄な奴としか分からなかったわ!」

と怒りをあらわにするベンタイン伯爵。


「捕虜の期間に懐柔されたかもしれない奴の話なんかまともに聞けるか。本当に小娘にそのような魔法能力があるというのであれば、先に証明をして貰おうか」

とヘルネ伯爵。


売り言葉に買い言葉のような流れで、サラは一言も話すことも無いまま、なぜか能力証明をすることが決まり、当日の交渉は解散となった。

サラは宿舎に戻り仲間たちにも経緯を話すが、外交交渉は良く分からない、という結論にしかならなかった。

翌日にでも呼び出しがあるのかと思ったが、用意が必要なのでと言われて、結局は1週間ほどたった後に翌朝に冒険者ギルドに来るようにと指示を受けた。暇な1週間は、道中と違い少しは安全な場所であるため魔法などの訓練にいそしむメンバであった。



翌朝、案内に従いサラたち王国メンバは帝都の冒険者ギルドの訓練場に足を運ぶ。

帝国の外交職員から、当日は1人であったというのであればこの場にも1人で、と言われ仲間たちも観覧席に移動させられ、訓練場の真ん中にサラが1人だけ立たされる。


しばらく待っていると、うなり声が聞こえだし、飛竜ワイバーンがテイマーに連れてこられる。ワイバーンはAランクの魔物であり、当然に空も飛べるうえに火を吐くこともでき、鋭い爪や巨大な尻尾も脅威である。

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