女隊長サラ

第406話 出陣前軍議

ちょうど新年になり、年始と軍議も兼ねてヴァーヴ伯爵の館で寄子の貴族たちが集まる。


その場でヴァーヴ伯爵がサラを紹介する。

「未成年にも関わらず既に多くの活躍をしているサラ・ドラセム準男爵である。この度、王都から駆け付けてくれて、多くの物資を搬入してくれた。彼女たちの魔法および魔法の袋による貢献を期待して独立部隊の隊長として活躍して貰う。皆、よろしく」

「サラ・ドラセムです。未熟者ですが、ヴァーヴ伯爵の寄子として末席を汚(けが)させて頂いています。どうぞお見知りおきくださいますよう、よろしくお願いいたします」



さて、と戦況の説明が始まる。


ヴァーヴ伯爵領は帝国領と接する王国でも東端の領地であるが、その中でも東端の街がロワイヤンである。

ロワイヤンは国境手前の街であるため、外壁が非常に高く、壁の上は弓兵などが歩けるほどである。南側が切り立った崖の海岸線、北側は東西を貫く街道、東西は森林になっており、大軍で攻めるのは難しい街になっている。

その外壁と環境、精錬な兵たちのお陰で帝国軍に対して持ちこたえているが、周りの村々や砦は順に落とされていきジリ貧状態である。


領内からの応援の先発隊は主にロワイヤンの街に入り、街防衛に専念しているとのこと。それより後の応援部隊は輜重(しちょう)も合わせての移動になりなかなか前線にたどり着いていない。


帝国軍には魔法使いも多いが、王国軍はそれほど居ないのもあり、単純な総力戦になると弱い。これ以上の援軍を送っても街に入りきらない軍同士が平地戦をするのは心もとない。帝国軍は主にロワイヤンの街の北側の平地に陣を広げているのである。

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