第353話 カーヤ魔法指導

伸び悩んでいたカーヤはサラに相談していた。


王都魔の森のダンジョン奥の大鍛冶用設備で精製したインゴットは高級品であり、それを使うと高級品の武具を作りやすかった。ただ、最近ハリーたちが王都ダンジョンで採掘してくれる鉄鉱石を商業者ギルドの大鍛冶で精製したインゴットでは、高級品の武具を作るのに苦労しているのである。


火力操作が鍛冶の重要ポイントであるため、せっかく習得できた火魔法≪種火≫を発展させて、火属性魔法の習熟を進めて行くと何かヒントが得られるのではないかと考えた旨も説明する。

サラは≪火球≫のスクロールもカーヤに使用させながら、自身も実演をして指導する。何度も繰り返すことで≪火球≫の習得は出来た模様であったが、サラは他のことに思い付きがあった。


魔法回復薬の調合の際に使用する≪粉砕≫と≪風篩≫を、鍛冶の精製前に使用すると純度が上がるのではないか?との想定である。他人の迷惑にならない王都ダンジョンで、持ち込んだ鉄鉱石に≪粉砕≫≪風篩≫をした上で、≪結界≫のなかで≪火炎≫の火力で溶かしてみた。

大鍛冶で作成するような綺麗な柱状のインゴットにはならなかったが、≪鑑定≫すると材質としては高級品になっていた。

また、≪結界≫を使用すると、周りに影響がないことが判明し、自宅でもこの魔法による精製はできることが分かった。


以降、サラは就寝前に魔力が余っているときには、魔力操作の訓練も含めて、魔法による鉄精製を大量にすることになった。


カーヤは安定して高級品の武具を製作できるようになったが、いつまでもサラに頼れないとの思いから、ますます数をこなす訓練を頑張るのであった。もちろん≪火球≫の練習もして、≪火炎≫を自力で発動できるように練習することも忘れていない。

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