第317話 魔法回復薬基礎
魔道具講義の後の休憩時間には、身近な魔道具として皆がお互いの魔法発動体を見せ合い、小さな魔法陣をよく覗き込んでいた。
続いての講義は、魔法回復薬についてであった。1年生の最初は魔法関係の基礎の基礎を一通りするようである。
特に魔法回復薬に関しては、サラは高級品まで作成できるので復習する内容にもならないかもと思いながら講義を聞く。
傷回復用と魔力回復用の見本を学生に回覧させながら、ガリレード先生は講義を行う。
魔法回復薬はポーションとも呼ばれ、普通の回復薬と違い、効果がすぐに反映される特徴がある。これは、水に溶けた回復魔法触媒を魔力で発動させた状態で維持されたものであり、魔法回復薬を体に取り込んだときに回復魔法を発動する仕組みになっている。
そのため、普通の回復薬の調合との一番の違いは、最終工程で魔力を込めて励起するところである。
と簡単な説明をされた後は、「洗浄、乾燥、粉砕、分離、溶解、励起」の実演にしようと言って、サラを見る。サラが魔法回復薬を調合できることをどこで知ったのか、壇上に来るように指示して、傷回復用の薬草と薬瓶を手渡す。
サラは改めて調合の手順を話しながら、作業を進める。
「基本的には不純物の混入を抑えることで品質向上が期待できます」
「まずは、薬草の効用の低い部分をナイフで切り除きます。続いて、汚れを洗い落とす洗浄と、乾燥です」
とナイフで茎を除いた後、≪簡易結界≫の中で薬草を≪洗浄≫し、≪乾燥≫を魔法で行う。
「次は細かくする粉砕と分離ですが、道具を使う場合は薬研(やげん)と篩(ふるい)です」
と言いながら魔法で≪粉砕≫と≪風篩≫を行う。
「最後に、水に溶解して、魔力で励起です」
と、≪水生成≫で生み出した純水に溶解し、回復を促す要素、回復魔法触媒へ励起を行う。
全ての工程を魔法で実施したサラに対して、はじめは静まり返っていたが、気づけば学生皆からの拍手の嵐になった。
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