第279話 ミーナ実戦訓練

翌日は、リリーとカーヤが商業者ギルドで店舗経営についての講習に行くので、サラとハリーがミーナを実戦訓練することにした。


魔の森までの乗合馬車に乗り、魔の森手前の草原で角兎ホーンラビットを相手に訓練する。

まず従魔ロック鳥のガンが1匹の角兎を、釣ってくる。もちろんCランク魔物のロック鳥がEランク魔物を攻撃するとすぐに倒せてしまうので、どちらかというと勢子(せこ)で、ミーナの待つ方向へ追い立てる感じである。

ミーナは短剣投擲の射程距離に入れば短剣を投げ、近づいてくればハリーが盾で≪挑発≫して防御だけをし、それをミーナが横から短剣で攻撃する。倒した後は、解体も短剣を使って、魔石を取り出し角と毛皮と肉を素材に分けることまで行う。

万が一怪我をしてもサラが≪治癒≫≪回復≫を行う、という手厚い体制である。


当然、最初は動く的に投擲は簡単には当たらないし、短剣で動き回る兎を刺すのも難しい。ただ動かない的への基礎的訓練は冒険者ギルドで昨日行っているので、それ以上続けるよりも、安全な体制をつくった上での実戦訓練の方が効果的である。


昼食ではハリーが角兎の肉の調理をミーナに教えて、往復の馬車などでは、識字、計算、マナーなどの基本も可能な範囲で教える。識字や計算などは帰宅後にリリーから受けている指導への、補助、復習的なものではある。

その他にも帰宅後には、角兎から得られた角を触媒に、毛皮を加工することもサラとリリーに学ぶ。もちろん、冒険者ギルドに討伐報告も行うことも忘れない。

そして寝る前には≪水生成≫訓練や魔石への魔力注入訓練も忘れない。また注力された魔石は、ミーナの選択で知識・魔法の女神ミネルバと天使マルカルロの祠に納めることになった。


ちなみに、サラが魔法回復薬の調合を魔法ですべて出来るようになったので、使わないで置いてあった薬研(やげん)や篩(ふるい)はミーナに譲渡されている。



家事はもともとの4人が基本的に実施しながらの、このスパルタ教育を、リリーたちの店舗講習の2週間分続けたので、角兎はミーナ1人でも問題なく討伐できるようになった。

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