第276話 少女ミーナ3

ミーナの家は、数日いなかっただけで色々と物色されていたようである。

ミーナには、今は1人でここに帰ってくるとミーナが危険な目に合うので許可できないが、ミーナが強くなったら自由時間には来ても良いと言ってあった。ただ、数日いないだけでこれなので、母の形見などちょっとでも大事なものは好きなだけ選ばせて魔法袋に入れる。


その後は、サラたちの店舗兼住宅に帰り、ミーナの部屋に案内し、持ち帰った物、今日着替えるまで来ていたものもそこにいったん置いておく。後で一緒に洗濯しようね、と。

続いて、隣人でもあるカーラを呼んで6人で昼食にする。もちろん6人そろってであり、奴隷だから立たせたり後からとしたりはしない。

その食事の中でも、普通の奴隷扱いをするつもりはないので、そのつもりでいて欲しい。ただ、サラとそのパーティー仲間、親しい人たちが害を被ることはないように、またサラの魔法など他に漏らさないように、だけは守るように「命令」としてお願いしている。


食後は、店舗兼住宅の案内をし、掃除や洗濯など今までしていたことの延長で出来ることからやって欲しいとお願いをする。まずは、ミーナの着ていた服、スラム街から持ってきた物を洗濯することから、リリー達に教わる。ここではサラが≪洗浄≫や≪乾燥≫魔法を使えるのと、温水を魔法で出せるのだが、サラが居ないときの手順である。

また、祠が複数あるのも一つ一つ説明をし、祠の水精霊や神々にミーナという新たな同居人を報告する。


さらに、サラが温水を魔法で出した風呂にもミーナを案内して、リリーが一緒に入る。ミーナは川などでの水浴しか経験が無く、お湯を張った風呂に入ることには驚いていた。


夕食の準備はハリーが張り切って、ミーナに台所の諸々を教えながら、一部一緒に作って、昼に続いてカーラを呼んで6人でにぎやかな食事となった。




ミーナは、眠りにつくときようやく1人になり、今日はいったい何が起きたのかと振り返る。奴隷商で色々と指導された奴隷の在り方とはかけ離れた扱いであり、スラム街で暮らしていた時よりも良い服や食事、ベッドを含めた部屋、お風呂。

お母さん、いったん強盗の仲間になってしまったことは反省し、これから心を入れ替えて頑張ります、と眠りにつくのであった。

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