第275話 少女ミーナ2
奴隷商に応接室をしばらく借りるお願いをして、5人だけで話をする。
「まずは自己紹介からね。私はリリー。もうすぐ12歳ね。この前も会ったわね」
「私はサラ、12歳。手続き上は私が契約主になったけれど、この4人、これからは5人は仲間だから仲良くしてね」
「俺はハリー。リリーの兄で、もうすぐ13歳。男一人だけどよろしくな」
「私はカーヤ。見た通りドワーフで、14歳になったところ。よろしくね」
「ミーナと申します。9歳です。皆様どうぞよろしくお願いいたします」
「うーん、硬いね。まぁ初日は仕方ないかな。早速だけど、ハリー、席を外して」
「あー、はいはい」
と、いったんハリーを追い出してミーナに新しい服に着替えて貰う。想像していたように、汚れた服のままであったので、新品では無いが清潔な服、下着に変更する。靴は寸法の推定がつかなかったため、これから買いに行く予定である。
ミーナは恥ずかしそうにはしていたが、命令を守ろうとするかのように着替えを行った。奴隷契約の魔石も胸の中に埋め込まれているし、服も普通になったので見た目には奴隷であるかは分からない。
ハリーに再度入室させた後、口調は年上への丁寧さがあっても、できればもっと砕けた話し方や態度を4人にはして欲しいとお願いしておく。
奴隷商を出るときには、奴隷商から「ドラセム様、今後もぜひご贔屓に」と挨拶されるが、愛想笑いで別れる。
まずは靴屋でミーナの足に合う靴、冒険に行く可能性もあるので頑丈な物に買い換えておく。続いて、スラム街に5人で向かい、ミーナが先日まで住んでいたところに行き、必要なものは魔法袋に入れて引っ越しをする。
やはりスラム街に入ると様々な目線もあるが、いったんは無視する。今日は従魔ロック鳥ガンも弓矢や両手斧も全て装備しているので、強盗の対象にはならないと思われる。
ミーナの家に近くなると、ミーナの顔見知りも居るようであるが、何か問題に巻き込まれたくないと声をかけてはこない。ミーナには、事前に言っていたように、引っ越しする旨と今までのお礼だけは挨拶させる。
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