第259話 王都魔の森

翌日は祠にお参りして、早朝に出発して魔の森に向かう。

小さな祠を購入して来て家に設置したのである。サラは水精霊シルビーと天使マルカルロの意見を聞いて選んだ、水精霊シルビー用、知識・魔法の女神ミネルバ・天使マルカルロ用の2つである。それを見た3人も、リリーは商売の女神エーコリウス、ハリーは戦の神マース、カーヤは鍛冶の神ウルカヌスの祠を用意して祈るようになった。それぞれ使用済み魔石に魔力を注入した魔石をお供えして、また空になったら注入するを繰り返すことにする。


王都からはダンジョン向けの乗合馬車に乗る。魔の森に行く時にも乗って良いらしい。揺られながらの1時間、周りを見ていると北の草原はほぼ魔物も居なく、森に近づくと角兎ホーンラビットを見かける程度であった。

王都の騎士団が、草原を越えて魔の森に行き魔物を間引いているとの話であり、草原の危険度は低いのだと思われる。もともと王都ワーズは、南部の豊かな農耕地を守るための、魔の森やワーズダンジョンの抑えの砦であった場所が栄えたのが起源とのことで、元々の砦は騎士団宿舎になっているらしい。


伯爵領都近くの街ゲレの魔の森でもそうであったように、奥に行くほど魔物のランクがあがる。ワーズダンジョン以外にも小さなダンジョンが所々にあるらしい。Bランク以上の魔物に遭遇するには3日以上は奥に進む必要があり、一般人や初心者は入口近くで探索する限りは安全であると言われている。


今日の4人は、事前情報だけでなく実体験で魔物の状況を見てみることと、調合のための薬草などの入手の容易性を確認というのが目的である。Bランク魔物に実際に遭遇するまでは5日でも進む前提の準備をしてきている。


まずは森の入口から1時間ほどにあるという湖に向かってみる。途中で遭遇するのは水蛇やたまに魔狼ぐらいであった。湖のまわりには日当たりの良い草原があり、傷回復薬になる薬草が群生していた。取り過ぎない程度に採取して、時間停止付き収納にしまっておく。また、庭に薬草畑をつくれないか試すために帰りに根とその周りの土ごと持って帰ることにする。

さらに湖に流れ込む小川をたどっていくと、日陰になった岩場の湧き水付近には魔力回復薬になる薬草の群生地も発見した。こちらも取り過ぎない程度に採取しておき、帰りに持ち帰るように覚えておく。

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