第249話 帰郷2
サラは、エミリーにも相談して父兄にも叙爵の報告に行くことにする。もともと、魔術学校に行く旨の話をする必要もあったので、それと合わせてである。
再度ハリーたちに一緒に行くのかを相談するも、もちろんと言われるので、ありがたく片道約1ヶ月の旅に出発する。今回はエミリーも同行せず4人だけで旅をさせる。サラは普通に貴族の旨を出さずに銀級冒険者としてのみ振る舞い、商隊護衛や乗合馬車を乗り継いで「龍の爪先」村に向かう。
以前のように魔物や盗賊も出るが、サラたち4人にとっては良い小遣い稼ぎのようなものにしかならなかった。もちろん面倒になりえる水精霊や悪魔の召喚すら不要であった。
この旅の間にサラは3人に光魔法≪灯り≫を指導するため、光魔法の触媒を買い込んでいたが、上手く行ったのはリリーだけであった。やはり人により属性の向き不向きもあるのかと思うようになった。
サラ自身は先日入手した呪いの短剣のこともあり≪解呪≫習得を練習する。
村に帰郷したら昼間であり父と兄2人は留守であったので、村長にあいさつした後に母ローラの墓に4人でお参りに行く。仲間が増えたこと、銀級冒険者になったこと、叙爵されたこと、そして魔法を色々と覚えて楽しめていること。
夕方になり父レオンと兄たちダンとジンが帰宅したので、ローラに報告したような内容を報告し、あらためて一緒に村長宅に訪問して村長たちにも報告する。
「叙爵が一代限りでないということは、お前に何かあれば俺たちに継承権が来るのか。やっかいだから絶対に死ぬなよ。それか早く子供をつくれ」
と11歳に言う言葉でないような発言をする兄たちと、
「先ほどは失礼しました。サラ・ドラセム様」
と態度をあらためる村長。今までと同じだから何も変えないで欲しいと皆にお願いすると、コロッと態度が元に戻る人たち。からかっていたのと気づき笑うサラ。
村の皆へのお土産もあり、また村をあげての宴会になる。
すっかり明るさを取り戻したサラを見て、こっそり涙ぐむ父たち。
翌朝、サラは父たちに魔術学校に行くことを決めた旨を報告する。入学に当たっては師匠エミリーの承諾書だけで良いはずだが、念のため父にも承諾書を貰っておく。あまり識字が得意でない父に丁寧に説明してサインを貰う。
念のため父と村長に、悪魔教団の追加情報が無いかを聞くが、いい返事は無かった。
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