第208話 悪魔召喚

山岳地帯での野営のとき、中級≪呪詛≫にもある程度慣れたので、中級≪召喚≫に挑戦することにした。

既に短剣を依代として人間界に存在するともいえ、日頃からも念話で出来ている存在であり、異界からの召喚よりは難易度が低いと想定している。また、水精霊シルビーの召喚も慣れているため、同じ≪召喚≫「evoke(エボケ)」に抵抗はない。

魔剣ストラデルに『よろしく』と言い

≪召喚≫

とすると、サラの身長の半分ぐらいで長い尻尾のある黒い子供のような者が、空中に浮かんだ。


「ようやく我を召喚できたな」

と皆にも聞こえる声で悪魔ストラデルが話す。

流石に水精霊と違い、他の3人も含めてこの姿が街中で現れると騒ぎになるだろうと思われた。

「何を考えているか分かるぞ」

「いや、しょうがないじゃない。姿を消せたりしないの?」

「ほら、可能だが、魔力を消費するぞ」

と消えた後も声が聞こえる。

「我を召喚できるようになったし、そなたの魔導書に初級≪鈍化≫、中級≪病≫、上級≪魅了≫、王級≪石化≫などを追加しておいた。それ以外は追々追加するかもな」


この悪魔ストラデルを召喚した状態で、さらに水精霊シルビーの召喚も試す。

≪召喚≫

で、少し不機嫌そうなシルビーが現れる。

「悪魔と一緒とはね。まぁサラらしいけれど」

「我も、水精霊と一緒なのは不満だが、サラらしいのには同意する」

2人の発言は無視して、成功したことに安堵するサラ。ただ、悪魔魔法は弱体化などが多く直接攻撃力が無いので

「ストラデルは、攻撃魔法はできないの?」

「見くびるでない。現状でも火風水土の中級までは使えるぞ」

と聞いて安心する。これでボス部屋などの際の人数不足に対応できると目論む。


色々と呆れている3人の前で、召喚した2人をかえらせて検証を終えた。

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