第201話 砂漠
翌日もダンジョン前で集合し22階の探索を開始する。
階層最初の光る床の部屋から扉を開けた先は、聞いていた通り砂漠であった。
ただ、実際の砂漠を経験するのは8人とも初めてであり、話に聞いていた以上の猛暑であった。ハリーは事前調査を踏まえて、顔、特に鼻と口を覆う砂対策の布とローブを人数分用意してあり、配布する。
地図に従い少し進んだところで、遭遇したのは巨蠍ジャイアントスコーピオンであった。
Cランク魔物3匹であり、貴族パーティー4人に任せてみるが、金属鎧の重量もあり砂場で安定しない、ジルベールが両手剣に変えて武技は≪斬撃≫しか使えていないこと、フェルールの≪火炎≫魔法の効きが悪いこと等から、早々にサラの≪氷刃≫等の加勢に入る。
戦闘終了後、ローブ内であっても日照りで熱くなっている欠点もあった金属鎧を魔法の袋にしまう。セドリックと相談し、金属鎧3人は暫定として革鎧を早々に買ってくることになった。残り5人は、サラがフェルールに小さいながらの≪水球≫を習得させつつ、巨蠍との実戦訓練を繰り返す。
セドリックたち3人が戻って来たので、下階への階段方向に進みながら、戦闘訓練を随時実施する。目標はジルベールの両手剣での≪剛撃≫とフェルールの≪水球≫習熟である。
巨蠍は殻が硬いことと、尻尾の先に毒があること、両手の大きな鋏が脅威であることに気を付けると、出現する3~5匹程度は問題なく対処できるようになってきた。
砂漠であることから、夜の野営時には岩場を探して活用することにして、方向を見失わないように工夫した。本来は苦労するはずの水の補給は、フェルールの訓練とサラの≪水生成≫で対処できている。
単なる草原などと違い歩みは遅かったが、6日目に階段付近に到達することができた。フェルールの精神的な疲労もあり、巨蠍の巣は回避して23階に降りて出口に向かうことになった。
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