第185話 指名依頼

パーティーリーダーであるハリーとしっかりしているリリーの兄妹2人が、セドリックたちと一緒に冒険者ギルドに行き、次のダンジョン改変を期限とした同行の指名依頼の手続きを行う。依頼中に入手した物は報酬として受け取れるが、食料などを含めた消耗品はハリーたちが用意することになっていた。

魔法の指導については依頼条項には記載されていなかった。


フェルールには魔法の袋があり、庶務担当であるランベールが預かっているため、ハリーとランベールが食料などの買い出しに行く。

リリーは冒険者ギルドに風魔法≪必中≫の指導を受けに行くが、サラの指導と違い良く分からない。しかたないので≪必中≫の魔導書のみを購入してサラに見せることにした。

そして、セドリックはフェルールを連れてサラと待ち合わせをしている、知識・魔法の女神ミネルバの神殿に向かう。


サラは事前にフェルールが使える魔法が火魔術と神霊魔法の回復魔法と聞いており、失敗時の危険が少なく自身も慣れている水魔術の指導を中心に、と考えていた。ハリー、リリー、カーヤと3人は全く魔法が使えない状態からではあったが水魔術を指導した経験もある。最近補充できていない水魔法の触媒を仕入れてから神殿に向かう。



神殿では個室を借用し、サラはフェルールと初めての言葉を交わす。

今の火魔術をどのように習熟したかを確認するが、あまり理論的な話はなく、強力な魔法発動体である大きな杖に依存している感じであった。神霊魔法も、毎日お祈りをしていたら、お告げが聞こえて指示通りで≪治癒≫が使えるようになったということで、≪契約≫をしたのかも定かでは無かった。

上級貴族である伯爵家でも魔法の指導がこの程度であることに驚いたが、セドリックから後で教えられたところでは、フェルールとの会話が成り立たないことを理由に辞退される講師が多かったとのことであった。

サラは、自身も似たようなものであったのにちゃんと指導してくれた、エミリーのような優秀な師匠につけた自分が幸せであったことを改めて実感する。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る