第178話 羽根ペン

そしてようやく宝箱がある隠し部屋を見つけた。

いつものようにリリーの槍による遠くからの確認と、カーヤの罠解除により宝箱の蓋をあげると、中にあったのは羽根ペンであった。

小さな魔石と見覚えのない魔法陣がついてあり魔道具であることは確認できた。

呪われてはいないと思われるが、念のために鑑定を終えるまでは魔法の袋にしまっておく。


その後もゾンビとの遭遇や、中が空であった隠し部屋の発見などを2日ほど続けた後、最初の部屋の近くに来たため、光る床から出口に向かう。

ゾンビ階層ではめぼしい素材も武具も入手できなかったため、素材等の買い取り窓口も通り過ぎ、早々に魔道具屋に行って羽根ペンの鑑定を受ける。


結果として呪い等は無く、インクが不要で魔力消費で書くことができる羽根ペンとわかった。さらに魔力を消費すると、このペンで書いたものは羽根部分で軽くなぞるだけで消すことも可能であるという。

地図の製作やメモなどにおいて書いたものが消せるというのは非常に便利であり、地図作成など一番多くの物を書くサラが使用することになった。

魔導書を除いて、初めてサラが貰った魔道具の戦利品であり、かつ自身が多用するであろうものであったため、サラとしてはかなり嬉しい成果であった。



その後は、生鮮食品や消耗品の購入やカーヤの父への武具の手入れを依頼しにいく。

そして4日ぶりの宿に帰る。稼ぎが多くなったことや、ダンジョンから帰らない日の宿も倉庫として継続利用できることと、見慣れた部屋の方が家に帰ったかのような安心感が得られることもあり、ずっと同じ宿に長期滞在としてお金を支払い続けている3人であった。



翌朝、いつものように3人はそれぞれ別々の神殿に寄ってからカーヤの実家に行こうとした際に、サラだけが行く知識・魔法の女神ミネルバの神殿はいつもと違っていた。

いつもは朝が早いからか、神官以外ではサラぐらいしか居ないのに今日は10人ほどの人が居たのである。

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