第177話 ゾンビ遺跡

夜が明ける前からダンジョンの入口に並ぶ。前回に比べてかなり列が短いうちに並べた。

19~20階は遺跡タイプでゾンビが出現すると聞いている。万が一かまれて病気になった時の病治癒も、サラの魔法回復薬で準備は万端である。


19階に降り立ってみると、10階の大きな街の遺跡タイプではなく、空は見えず通路か部屋で埋め尽くされている建物内タイプであった。以前に空間魔法の魔導書を見つけたダンジョンと同じタイプであり、壁や床はタイルやレンガのようなものが敷き詰められている。ダンジョン改変後すぐであり、宝物も期待できるのもあり、丁寧な地図作成をしながらの探索にする。


遭遇するのは3~5匹のゾンビであり、特に苦戦することもなく順調に進めることができる。神官・司祭のように浄化魔法が得意であればアンデッドのみの階層は楽と想像されるが、Dランク魔物のゾンビであれば魔剣などでない通常武器の攻撃も効果があるため、特に問題は発生していない。


ところどころに風魔法で気付く隙間があり期待も高まるが、何もない部屋であったり罠であったりであった。罠も多い階層であるが、風魔法で事前に気付けたり、カーヤによる罠解除ができたり、もし怪我や毒による被害があってもサラが回復することができた。

≪そよ風≫と≪集音≫を習得しているリリーも探索することで風魔法の習熟を深めている。杖の魔法発動体では弓もしくは槍との両方を持って魔法探索するのは難しかったが、指輪の発動体になってからは問題が無くなった。

リリーはさらに、そろそろ風魔法の≪必中≫を覚えることで矢の命中精度をあげることを期待している。ただ≪必中≫はサラが覚えていない魔法であり、サラの実演を見てイメージすることはできないことは覚悟する。

それとは別に、≪そよ風≫や≪集音≫ではなく、隙間の捜索そのものに良い魔法を開発できればと考えるサラであった。


かなり早い段階で列に並んだからか、最初の2日ほどは他冒険者に遭遇しないまま探索を進められていたが、丁寧に地図作成をして時間がかかるぶん、追いつかれてきたのか、見かけるようになってきた。先日の悪質冒険者のこともあり、見かければ別の方向に行くなどできるだけ接触を避けている。その分、地図作成が非効率になっても構わない。

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