第160話 ソロ冒険者

残念ながら宝箱などは見つからないまま少しずつ地図を埋めていくサラたち。

「どこが降りる階段か分からずに進むのって疲れるなぁ」

「サラに地図作成もさせているだけなのに、文句言わない」

「もう地図作成も慣れたものだから大丈夫よ」


そういう会話をしながら進んでいるうちに戦闘音が聞こえてくる。

「また別の冒険者か。遠回り、面倒なんだよなぁ」

「でも、変に敵を攻撃して横取りと言われたり、盗賊ではないかと疑われたりは嫌でしょ」

「ま、様子だけは確認しよう」

と除きに行くと、自分たちと同じぐらいの背の低い冒険者が1人でホブゴブリン3匹を相手にしている。

「大丈夫か?」

「大丈夫じゃないわよ。見てないで助けて」

と返事を貰ったので、すぐに弓矢や≪火炎≫などの遠隔攻撃を行い、近寄ったハリーが≪挑発≫で敵を呼びつける。


その後は特に問題なく3匹を倒してから、サラの≪治癒≫をしながら、話しかける。

「怪我はもう大丈夫か?」

「ありがとう。助かったわ」

「1人で捜索しているの?危なくない?」

「いつもは上手く逃げ回るのだけど、失敗しちゃった」

どうも相手は女の子のようであった。背はサラたちと同じぐらいだが少しぽっちゃり体型な子であった。金属補強された革鎧と、持っている武器が片方は斧、片方はとがったツルハシ・ピックの変わった形であった。

「それって斧なのか?」

「ザグナルっていう斧とピックの組合せたものなの。私、採掘もしたいのだけど、ツルハシと武器の両方を1人で持つと、持ち帰られる鉱石が減っちゃうからセットになったものにしているの」

「この後はどうする?」

「家に着いたらまとめてお礼をするから、入口まで送ってくれないかな」

サラたち3人は顔を見合わせて、仕方ないかと、入口まで戻ることにした。次の階層までの道がどのくらいか不明であるし、地図も作っている初めの部屋までの方が確実に早いからである。

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