第123話 帰郷
次の街に着いて乗合馬車の同乗者とは解散になる。
エルフのティアーヌは、結局エミリーとサラに少しだけ話すようになっただけであったが、「また機会があれば」との挨拶だけはして別れて行った。
その後、ハリーの頼みで同乗した母娘の親のところに同行することになったエミリーたち。体調を崩したとの手紙を受けて心配して母娘が訪れるのであり、それに同行する。
上流でも下流でもない一般家庭の家で老婆が一人暮らしのようであった。
訪れるとベッドで1人寝てはいたが、起き上がれないほどではなく、生活をしたり手紙を隣町の娘・孫に送ったりはできるぐらいであった。
エミリーから「こちらを」と渡された病治癒の魔法回復薬を飲むと、すこし緩慢(かんまん)な動きであった老婆は、元気に動けるようになった。
母・娘・孫娘の三代の女性たちから感謝をたくさん受けながら、この街も後にする。
□
その後は、サラの故郷の村の最寄りの街まで盗賊にあうこともなく無事に進む。
村の最寄りの街からは、リリーとサラが馬に乗れないことと、4人いることから小さな馬車を借り、ハリーが御者をして村に向かう。馬車なので村へのお土産も積めるため、村には少なそうな食材や消耗品などを調達して積み込む。
無事に村に着いたときにはちょうど夕方であり、サラの父・兄たちも帰宅していたため互いを紹介し、村長へ挨拶に行くと、お土産のこともあり予想通り宴会となった。
子供たち3人はもちろん飲酒できないが、盛り上がった雰囲気を楽しむのであった。
夜、サラの父レオンにエミリーは、サラの近況を伝える。手紙もたまに送ってはいたが、レオンの識字レベルでは簡易であったので補足をかねがね、である。
2年前に連れ出した後、魔法使い見習いをしている中で、ハリーとリリーに出会い冒険者を続けていく中で、他者とのつながりも増え人付き合いが少しはできるように回復したこと、冒険者としても急激に成長して一人前である銅級になったこと、そのなかで魔法の習熟度合いがかなり上がってきたこと、そして形見の短剣が魔剣であり、その指示で遺跡に来たこと等である。
レオンはサラの回復に涙するのであった。
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