第100話 落とし穴

それから地下2階の捜索において、遭遇するゾンビやマミーには松明は使わずに進んだ。


次の地図の隙間、ベッドを二つ細長くつないだような場所では、マミーが居た部屋の壁において隙間があることを確認できた。動かし方がわからず皆で触っていると壁が反対側に倒れ落ち、ハリーも一緒に落ちそうになったが、何とか皆で腕をつかみ阻止することができた。

恐る恐る下を覗き込んでも暗いため、光魔法≪灯り≫を2つ少し離して下に灯す。

「うわー!落ちずに済んで良かった。ありがとう!」

とハリーが言うように、片手剣ほどの剣山が一面に敷き詰めている小部屋であった。


倒れた壁は蝶番で自分たちの足元につながったままであり、床には剣山以外には何もない。

購入した地図の地下3階では、この落とし穴の場所はある部屋の隅になっているが、おそらく採寸ミスをしているだけなのであろう。実際は地図よりも部屋が小さく、隣との間がこの剣山部屋と思われる。剣山部屋の4面の壁には何もなく、地下3階での出入りはできそうにない。


過去に誰も落ちなかったとは思われず、運よく落下で死亡せずに地下2階に逃げ出せたか、ダンジョンの仕組みで死体だけでなく装備品も一緒に吸収されたと想像される。



引き続き地下2階を探索しゾンビやマミーを倒して進み、最後の地図の隙間にたどり着いた。

今度は部屋の壁ではなく通路側に何かあることに気づけた。先程と違い、サラの風魔法≪集音≫でのみ気づけるほどの違和感であった。周辺で風魔法≪そよ風≫をさらに用いて隙間を探すと、ほんの少しだけ違いがあるタイルを見つけられ、それを触って押すことで通路の壁が凹んだ。

先程の落とし穴の件もあり、十分に注意して壁を押すと、奥に小部屋が現れた。


突き当りの壁に小さなくぼみがあり、何か置かれているようである。

壁面や床面に罠設置の隙間が無いかを≪集音≫≪そよ風≫で違和感が無いことを探しながら進む。

置かれていたものは片手剣であった。

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