第70話 名刺

冒険者5人がオーク3匹と戦闘中に、別方向に気配を察知するサラ。

どうやらそれなりの知能のあるオークが二手に分かれて襲撃してきた模様である。


「こちらにも襲撃!2匹!」

と大声で皆に注意喚起をするが、ハリーたちが戻るにも少し離れてしまっていること、商人たちはそこまでの敏捷性は無いため、サラ一人で守り切れる状況では無い。

最高攻撃力の≪水刃≫で瞬殺はできないことを踏まえて、時間稼ぎを考える。

≪灯り≫をオーク2匹の顔の前に発生させて一瞬の目くらましとし、その隙間に≪水針≫でそれぞれのオークの目を狙う。もちろん魔剣を発動体にすることを隠す余力はない。


「何とかしのげ!すぐ戻る」

と先輩冒険者ヘルムが、弓矢が使えるリリーとアルク、連携を期待してのハリーの3人にサラの方へ向かわせつつ、剣士ハルトと2人で3匹のオークに対応する。

荷馬車が邪魔になり互いの状況が目視できなかったが、すぐにリリーとアルクが荷馬車の横から武技≪穿孔≫を使った矢を放つ。片方のオークはサラの≪水針≫が視界を奪ったようであるが、もう片方のオークが逃げ遅れている商人を襲っていたため、そのオークに矢が2本突き刺さる。

その後は、二手に分かれた盾使いそれぞれが≪挑発≫も用いてオークの攻撃を呼び寄せつつ、落ち着いて対応する。奇襲のタイミングをしのいだ後は、問題なくオークをしとめきる。


襲われた商人は大怪我では無かったが、サラの≪治癒≫と念のための魔法回復薬で回復した。

サラを含めたハリーたち3人はオーク5匹の血抜きのふりをして魔剣に血を吸わせつつ、魔石や素材回収を行う。



この6台の商隊を率いる商隊長ミケラルドに、サラが発動体に短剣を使用していることを見られた。発動体に用いるのは杖や指輪が一般的であり、たまに魔導書であり、武器は無いわけではないが珍しいので印象に残った。

さらに、商隊メンバが魔法回復薬をサラから購入した旨も聞いているし、攻撃と回復など魔法の幅や威力も今後に期待できると考え、名刺であるメダルをサラに渡す。

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