第69話 夜襲

盗賊や魔物の被害なく、ゲレの街に向かう商隊護衛中のサラ達。


以前、御者と仲良くなり馬の世話や御者を教わったハリーは、今回も手綱を預かる時間を増やして貰い、馬の扱いをさらに上達させた。

リリーは副職業の毛皮職人の関係で、商人にお願いして、今の流行りや納品時の喜ばれる仕上げの注意点など商人目線の情報を聞きこんでいた。

一方サラは先輩冒険者や商隊の人との交流を能動的には行わず、食事休憩でハリーが馬の世話をしているときなどには、≪水生成≫による皆の水筒への補給や、周辺警戒のついでの薬草採取など会話の少ない行動ばかりをしていた。


ちなみに、他人の前では魔法発動体としての短剣を見せないように、また訓練のためにも発動体は無で≪水生成≫を実行した。

途中の村で宿屋に泊まれるときは一応女性部屋としてリリーとサラだけ別部屋にして貰っていた。そのようなときには商人たちに見られることもないため、魔導書を取り出し読み込みを深めるなど、落ち着いた行程を過ごしていた。


ただ前回は、ゲレの街の直前の野営で魔狼の襲撃があったことから、魔の森に近づくにつれ緊張が深まり、最後の野営では冒険者たちは戦闘装備のまま仮眠程度での交代に決めていた。

見張り番が先輩冒険者、弓士で狩人のアルクと、盾と片手剣の剣士ハルトの2人のとき、狩人アルクが気配を感じた。

6台もの馬車すべてを守る陣形で野営はできないため、真ん中の焚火の近くで皆が寝て、見張りもその近くにいたのだが、何者かが外縁の馬車に近寄る気配を感じたのである。

2人は目配せで、他の冒険者や商人たちを起こすことを手分けする。冒険者4人は仮眠でありすぐ起きて、サラ1人を商人の護衛に残して気配の方向に5人で向かう。


5人が向かった荷馬車の向こう側には、Dランク魔物のオーク3匹が片手剣を構えながら荷馬車に取り掛かろうとしていた。弓士2人による遠隔攻撃の後、5人で囲むように近寄って行き戦闘開始。

盾も2人いる上に人数も多いので大丈夫と思われたころ、サラが別方向に気配を察知する。

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