第67話 形見

エミリーは葬儀が終わり落ち着くまで村にいて手伝った。

ローラには親類がいないと聞いていたので、村民とエミリーだけで葬儀を行った。魔術学校の同級生などにはエミリーが別途連絡をすることにする。


5歳にして母親が亡くなり、消えない火傷痕が残ったサラは急にふさぎ込んでしまっていた。エミリーが村を出るときもほとんど言葉を発さずに別れることになった。


それからしばらく、ローラの夫のレオンと近況を手紙でやり取りを続けた。

辺境なので配達コストもかかるので頻度も低く、レオンはそこまで複雑な読み書きはできないので簡単な内容であった。

それでも、サラがだんだん元気を取り戻すも元の明るさまでは戻らず、人付き合いも避けるようになったこと、亡母をしのび魔法使いになりたいと希望するも、周りは男手ばかりでしかも肉体労働派の3人であり上手く面倒を見られていない様子を伺えた。


そのころエミリーは冒険者を引退し、魔法回復薬の店舗を持つようになった。


手紙で、サラを引き取り育てることをレオンに相談し、ローラの死後3年ほどしてから再び村を訪れる。


ローラの魔法関係はすべて襲撃時に盗難し、発動体の杖は遺体発見時に燃えカスになっていた。村の近くの遺跡で発見していたとレオンが言う短剣は、川縁で襲撃された時には革鎧等の装備と一緒に家に置いたままで盗難を免れていた。

形見として残ったのはこの武器類と衣類だけであり、サラの体形でも使える短剣だけ形見として領都まで持ち出すサラであった。



以後、サラは今日までの2年ほど領都のエミリーのところで見習い魔女として暮らしてきた。魔法回復薬のお店の手伝いである薬草採取を覚えながら水魔法の基礎を学び、ハリーとリリーに出会って急成長したのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る