第60話 死霊魔法

今回いくつも入手した魔鼠の死体で、以前入手した骸骨スケルトンの死霊魔法の練習をしてみることにした。何かあったときのために師匠エミリーも横で見ている。


以前は、悪魔魔法が術者の魔力をトリガーに霊的な存在から力を借りるものであることが頭でしか理解できていなく難航したが、水精霊との契約により精霊魔法を使えるようになったサラには次の段階に進めることも期待が持てる。

ただ、水精霊シルとは違い悪魔の真名も知らず契約もしていないので、その違いはあるが、魔導書とその魔法陣もあることから何とかなりえると考えた。後から振り返ると、これは悪魔魔法ではなく結果的に自力魔力だけの魔術になったのかもしれない。


まずは魔鼠の大きさでの魔法陣を、砕いた魔石を混ぜたインクで描く。その上で、真ん中に魔鼠を置き、魔鼠から血を注ぐ。悪魔魔法での触媒は魔力を持った血と言われるからである。

その上で魔導書にあった≪骸骨≫osseus(オセウス)の魔術語と詠唱呪文を唱える。日ごろは魔法陣も詠唱も触媒も使用しないが、戦闘のような緊急時や頻繁に使うものでないので時間がかかっても確実なやり方で試してみる。


最初は死体から肉が消えていき骨になるだけであった。次はそのイメージができたため、動くところまでイメージするようにした。最近ずっと闘ってきた相手なので動くイメージもある。

魔法陣の魔力も消費するような発動方法のため、新しいインクで都度書き直す。

骨になるだけ、少し動くというのを数回繰り返した後、完全に動く骨の魔鼠が誕生した。


何となくの意思疎通ができ、動く方向の指示や停止指示ぐらいまではできることが確認できた。


サラ自身と闘うような指示もでき闘ってみたが、元の魔鼠に比べて骨の魔鼠は何段階か弱い感じがした。さらに得られた魔石は、元の魔鼠の魔石より小さいものであった。


かなりな手間がかかること上に効果も微妙であるため、使いどころが限られると思うのであった。

そうはいっても、残った魔鼠の遺体の数だけ練習をした上で、それぞれ魔力開放の指示で単なる骨に戻して魔石を回収し、最後にエミリーに焼却処分して貰った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る