第57話 精霊魔法
押しの強い水精霊に名前を問われて教えたサラに、
「サラ、まずは私の力を使えるように契約をしなさい」
と、魔導書の最初のページで≪契約≫contractus(コントラクトス)の魔術語を示され、真名Silvie(シルビー)と合わせて唱えて≪契約≫する。
「召喚しろと言っても、まだあなたにそんな力は無いわよね。私の力を使っての精霊魔法をたくさん使って練習しなさい」
と、魔導書の前の方は≪水生成≫≪水刃≫などがある旨を教わる。
精霊魔法は神霊魔法や悪魔魔法のように、自身の魔力をそのまま使用するのではなく、魔力を精霊等に捧げてトリガーとして、精霊の力で魔法を出現させるものである。属性魔法などにおいては、術者の魔力を属性変換する際のロスがあることなどを踏まえると、基本的には同じ消費魔力でも精霊魔法の方が強力である。
言われるがまま、シルビーの力を使うことを意識して
≪水生成≫
を使用する。何度か、従来通りの自身の魔力からの生成になってしまったが、シルビーの真名を意識して使用すると、いつもの5割増し程の水量で生成された。
同様にシルビーの真名を意識して
≪水刃≫
を使用すると、いつもより5割増し程の大きさの刃が生成された。
「まぁこんな感じかな」
とシルビーの反応はいま一つだが、
「サラ、すごいじゃない」
「すげえなぁ」
と兄妹からは素直な賛辞を貰う。
ハリーとリリーも名乗り、シルビーも真名はサラだけとして通称としてシルと呼ぶように名乗る。
「祈りや奉納は遠隔でも良いけど、それでもときどきは祠にお祈りに来なさいよ。奉納は魔石でも良いわよ」
と俗物的なシルであった。
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