第56話 水精霊

どこからともなく聞こえた声に辺りを見渡す3人。

「誰だ?」と頼りなく杖を構えるハリー。

「ここだよ」と祠の上に幼女が座っていた。ただ、半透明な水色で体中ができていて明らかに人間ではない。


「水精霊?」

とつぶやくサラに

「そうだよ。やっと会えたね」

「どういうこと?」

「最近来てくれていなかったね。他には誰も祈ってくれないし、寂しかったよ」

「最近は別のところに。ってそうではなくて」

とリリーがつっこむ。

「この泉、水の魔素が豊富なの。でも祈ってくれる人が居ないと私も力が得られないの。しかも水魔法も使えない人の前には現れたくないし。あなたたちは来るたびに祈るし行儀も良かったから」

会話がかみ合っているのかいないのかという返事をする水精霊。ただ、先ほどの属性変換の違和感、それによるハリーの変換に対する習熟の速さの原因は理解できた。


「で、どうして出てきたんだよ?」

「やっぱり私も存在を知って貰って信仰して貰って力を増やしたいし、今のままだと暇だし」

「で、結局どうしたいんだよ?」

「ハリー、さっきから言い方!」

「まぁ良いわよ。それよりもあなた、そうほとんど話さないあなた」

とサラを指差し

「これからは私を外で召喚しなさい。あなたが3人で一番マシだから」

「え?でもやり方も知らない」

と驚くサラ。


「しょうがないわね、これをあげるわよ」

とどこかから取り出した魔導書を渡される。

「これを使って私の力を使いなさいね。私の真名はシルビーよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る