第53話 吸血

サラは魔剣の成長条件を調べるために、数が少なく高価な魔石をこれ以上使うことを躊躇する。

そこで、もともと魔石の吸収は1つだけであったのに段々鍛えられていたと感じたことから、魔物の狩りでも成長していた理由を考える。

英雄譚などの物語に登場する成長する魔剣は、とどめをさしたときに魂を吸い取ることで成長するものと、生き血を吸うことで成長するものがあった。


リリーにも状況を伝えて協力を依頼し、角兎で実験をすることにした。


リリーの槍による打撃であまり血を出さずにしとめた角兎を複数用意して、魔剣を突き刺した後に血抜きすることで血液量が減っているかを確認すると、明らかに魔剣を刺し続けた死体の方の流れ出る血が圧倒的に少なかった。これにより魔剣が血を吸収することと、少なくとも死後すぐであれば吸収することが判明した。別途、死後かなり時間経過したものからは血を吸収しないことも追加確認できた。


また、同じ魔剣でも短剣として使用して殺害したときには吸血が確認されたが、魔法の発動体として使用したときには吸血が確認されなかったため、吸血には物理接触が必要なことが分かった。


さらに、魔物ではない普通の兎でも試したところ、普通動物では魔力が足らないのか吸血が確認されなかった。


吸血以外の、魂を吸い取ることの有無、とどめをさしたかどうかでの差異の有無については良い確認方法が無く断念した。



リリーはこのようなことを怖がるのかと思っていたら、

「血抜きが楽になるね。これからはその魔剣でお願いね」

とアッサリしたものであった。


師匠エミリーにも、魔剣の成長、魔石からの魔力吸収や吸血について話をしたところ、

「お店の魔石は勝手に使わないでね」

程度の反応であった。

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