第52話 魔剣

ハリーが魔の森に行っても、サラもリリーも家の手伝いである薬草採取や肉の入手のために、湖畔や草原には出かけて行った。既に猪を一人でも何とか倒せるぐらいにはなったので、ハリーが居なくても角兎や猪を二人で狩るのは問題が無かった。

狩りの戦果の分配は二人になったので、肉と毛皮をリリー、魔石をサラ、角は半分ずつとし、背負子も持った運び人が減った分、猪の骨等は諦めることにした。

ちなみに、安全地帯を移動中でのリリーの学習には、水魔法が追加されていた。


夜の手入れの際に、サラは二本ある短剣、通常製品と魔剣の傷み具合が違うことに気付いていた。魔法の発動体としても武器としても使用している魔剣の方が、傷むどころか段々と鍛えられているかのように感じられるのである。



サラはリリーへの文字や魔法の指導に並行して、加入した魔術師委員会の図書室に多くの魔導書があることを喜び、師匠の家にはない魔導書で学習をしようとしていた。

特に悪魔魔法については師匠の本棚では少なく、先日遺跡で入手した魔導書の解読と学習を進めるためにも、悪魔魔法の基礎を読み始めた。



悪魔魔法は精霊魔法や神霊魔法のように、術者の魔力をトリガーに霊的な存在から力を借りる魔法であり、サラが習得済である術者の魔力をそのまま使用する魔法とは基本的に異なる。そのため、頭では理解できてもイメージ化に難航している。


悪魔魔法の学習の中で、自分の魔剣の魔法陣も解読をすすめていると、魔力の吸収という記述に気付く。

段々魔剣が鍛えられていることから、魔物と闘う中で魔力を吸収しているのかもと考えていると、過去に魔剣が触れていた魔石が無色透明になってしまったことを思い出した。魔道具で魔石を使用するとそのうち魔力を使い切って無色透明になると言われている。


今までに貯めた魔石、特にたくさんある角兎の魔石に刃を触れさせてみたところ、無色透明になった。一度≪水生成≫で水を生成してみた後に、角兎の魔石を大量に吸収させてから再度≪水生成≫してみると、微妙に生成量が多くなっているようであった。

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