第49話 商隊護衛
商隊出発の朝、リリーとサラは見送りに門まで付き合い、サラはお守りとして自作の初級魔法回復薬を5本渡す。
今回は荷馬車が3台、商人が乗るのが1台の合計4台の構成であり、護衛の冒険者は分かれて御者席に乗る。
ハリーは初めてであるため、周囲警戒の重要度が低い真中の荷馬車に乗る。人付き合いの良さから、同席の御者とすぐに仲良くなり、餌やりや毛の手入れなど馬の世話を手伝って覚えたり御者のやり方も教わったりした。
事前にリーダー剣士ヘルムから聞いていたのは、今回は大きな街道の移動であり、ほぼ危険はないとのこと。山賊もこんな街道で活動をしていると経済活動への影響の大きさから領軍などが出てくるので襲ってこないし、魔物も少ない地域であるからと。どちらかというと、護衛の冒険者の裏切りが危険だが、冒険者ギルド経由の依頼なので冒険者も追手が怖くて裏切れない。
護衛の冒険者にすると、夜もだいたいは途中の村で宿泊になるし、たまの野宿で交代見張りによる睡眠時間減ぐらいで、宿も食事も手配されての移動になり、美味しい依頼である。商人からは、それぐらいの追加費用で戦える者を護衛にできるので、双方ともに共存関係になる。特にこんな安全なルートでの護衛であるので、自分たち鉄級冒険者が数人でも成り立っている、という話であった。
実際に昼も夜もまったく危険はなく、初めての野営に緊張したぐらいであった。その交代制の見張りも一番楽な最初の受け持ちでありその後はぐっすり寝ることができた。
目的の街に着く前夜、つまり魔の森に一番近づいた野営のときに、魔物の襲撃を受けた。ハリーだけは気が緩み油断していたが、先輩冒険者3人は直ぐに対応ができ、魔狼3匹に対して商人たちを守り切った。
ただ、食材を積んだ荷馬車を狙った魔狼から荷を守ろうとして、制止を振り切って飛び出した商人が、腕を負傷してしまった。
ハリーがいつものようにサラ作成の魔法回復薬を惜しみなく使ったところ、皆から驚かれ、さらには商人から販売をせがまれて断るのに苦労した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます